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39話 建国祭⑤

ロレッタ視点


「ロレッタ! 凄い音が聞こえたけど大丈夫⁉︎」


 子供をあやしていると、クリフトが勢いよく部屋に飛び込んで来た。


「クリフト! 国中に散らばった火薬は大丈夫なの?」


「うん、兵士を総動員して国中を血眼になって探したからもう平気だよ。ロレッタの方こそ怪我はなかったかい?」


 クリフトは私と子供達の無事を確認すると、安堵のため息をこぼした。でもその時……


「う~ん……あれ? 俺はどうして寝てるんだ?」


 気絶していたジャングラーが目を覚ましてしまった。まずい早く捕まえないと!


「そうだ、思い出した! おい、子供達がどうなっても……」


「ジャングラー! いい加減にしろ!」


 ジャングラーが何か言おうとしたが、誰かがそれを遮った。この声は確か……


「ガレル陛下! どうしてここに⁉︎」


 ガレル陛下は白い髭をさすりながら私たちの前に現れると、冷たい目でジャングラーを見下ろした。


「どうも兵士の様子が慌ただしかったので駆けつけました。その道中で怪しいものを見つけましてね」


 ガレル陛下が目で合図をすると、後ろに控えていた兵士が1人の男を地面に座らせた。


「さぁ、白状しろ!」


 男は渋々頷くと、ジャングラーの方を見て全て話し始めた。


「我々はジャングラー様に火薬入りの箱を国中にばら撒くよう命令されました。そしてジャングラー様は……ロレッタ妃の子供を誘拐すると言っていました……」


「おい、何を適当な事を言ってるんだ! 俺はそんな事一言も……」


「お前は黙っていろ!」


 ガレル陛下に一括され、ジャングラーは歯軋りをしながら口を閉ざすと、自分の部下を睨みつけた。


「たとえ実の息子であろうと、今回の事は決して許すわけにはいかない! お前がした行動はいずれ戦争にまで発展し、多大な犠牲を出す事になっただろう。その事を自覚しているのか!」


「知るか、そんな事! 俺は選ばれた人間なんだ! この世界の頂点に立つのは俺なんだよ!」


 ジャングラーは開き直った様に戯言を喚いた。これには私やクリフトも怒りを通り越して呆れてしまう。


「だめだ……もう我慢の限界だ。お前はこれまで私利私欲に権力を使い、国民を道具の様に扱ってきた。そして今回はロレッタ妃のお子さんに手をかけようとした。もはや救いようがない……」


 ガレル陛下は深いシワを寄せて悲しそうに俯く。何となくこれまでの陛下の苦労が伝わってくる……


「衛兵、この重悪人を連れて行け!」


 威厳のあるガレル陛下の声が部屋に響く。張り詰めた緊張感が漂う中、次は兵士を押しのけて異議を唱える者が現れた。


「お待ち下さいガレル陛下!」


 異議を唱えた男は陛下の前で膝をつき、深く頭を下げた。


「お主は……」


「申し遅れました、曲芸師たちの座長を務めるヤングと申します。陛下、この重悪にどうか極刑を宣告して下さい!」


 ヤングの発言に当然ジャングラーは目くじらを立てて反論した。


「極刑⁉︎ 何を言ってるんだ⁉︎」


「お前は私たちのショーに紛れ込み、火薬を密入して、この国を乗っ取ろうとしただろ! お前の様な重悪人は極刑以外ありえない!」


「なっなんだと!!??!?!?」


 ジャングラーは顔を真っ赤に染めて怒りを露わにするが、ヤングは無視をして陛下に訴えるような目で見つめた。


「私は陛下の事を心から尊敬しております。だからこそジャングラーに陛下の邪魔をされるのが許せません。どうかこの愚か者に厳しい罰をお与え下さい!」


 ガレル陛下は長い髭を摩り、小さくため息をついた。


「うむ……お主の言いたい事も分かる。確かにコイツがしてきた事は許されない。しかし、どんな重悪人であろうと法の下で平等に判決を下すべきだとは思わないか?」


「し、しかし……」


「もうよい、お主も下がれ……」


 ヤングは不満そうな表情でガレル陛下に最敬礼をすると、別の提案をした。


「では、陛下、ジャングラーを明日の舞台に出演させるのを許可して下さい。反省の意味をこめて国民の皆様を楽しませてもらいましょう!」


「それはなかなか面白いな。ではジャングラー、明日の舞台を楽しみにしているぞ」


 ヤングはまた深く頭を下げると、今度は私の前に来て膝をついた。


「ロレッタ妃、この度は本当にご迷惑をおかけしました。お詫びとして……明日、中央ステージにお越しいただけますか? きっと最高のショーが見られると思います」


「分かりました。楽しみにしています!」


 ヤングは満足そうに頷くと、忌々しそうな目でジャングラーを睨みつけて部屋を出て行った。

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