コルデー回想6
身体が冷えて身を震わせながら施設内に戻る。
「ねぇ、メイクしないの?」
「資金ないからー。」
「じゃ、テスターが豊富にある店に行って、メイクデビュー飾ろう。資金問題かぁ。動画撮ってみたら?」
「田舎ダイエットとか?」
「それいい、ダイエットって一定数稼げそう。」
「使えるアイテムスマホだけの中で、できそうな気がしてきた。」
声を立てて笑い、洒落た容器の中の化粧品色々手に取り、香りを嗅いだり、縦の甲に少し塗って試したりする。
「うちのお勧めでみすなを仕上げます。」
白雪は点々と足を止めて、わたしの顔に細い指で基礎を馴染ませ、下地を塗り、色を乗せてゆく。
「さぁ、どうだ」
商品店に備えられた小さな鏡に向かい背を押される。
肉が多い顔に、メリハリがついてスッキリとして見えた。
「色白に見えるね。目と鼻と口がちゃんとしてる。なんか、恥ずかしいけど、嬉しいよ。」
「みすなは元のいろが白いから、日焼けは避けたほうがいいんじゃない。」
自信あり気で満足そうに出来上がりに対し頷いている。
気分が最高に盛り上がる。
「帰るまで、絶対にこのままでいる。」
「あはは、大袈裟。」
この時15時を過ぎていて、あと少しで遠い田舎に帰らなければならない。それでも、この瞬間が嬉しくて堪らなかった。