コルデー回想5
ショッピングモールは広大で驚いた。なんでもある商業施設に気軽に通える白雪を羨やむ。歩いている間に開店時間を迎えたらしく、正月のせいか朝一番から賑わっていた。
「どこから回る?」
ピンク色の口が弾んだ声音で質問を発する。
ペットショップ?、雑貨屋?、服見る?、など、一気に何ヶ所も勧められる。
どう、この綺麗な子はわたしの友達よ。
凄いでしょ、羨ましいでしょ。
人出の多い場所に出るとそんな優越感がヒタヒタと全身を満たす。
綺麗な白雪と比べて、五年間同じジャンパー着たわたしってどう見えるか省みる。
ひどい有様でも白雪はわたしを友達って思っているからね。
そう、誰もが友達になりたがるような子の友達なのよ。
変に陶酔した感情が昂る。既に足が地についていない感触だ。
1日で見ることのできない店舗の中央に高い吹き抜けの天井があり、光り強いディスプレイと人の波が一望できる。
案内された店に感嘆を漏らすばかりだ。イベント広場で脚を止めて、新春の催しを眺める。胸は高鳴り、高揚と幸福感で心が満たされている。
昼を過ぎると、人出が増えて歩きにくくなったため、昼ごはんを食べることにした。予算は思い切って千円を取っている。モールの中での食事は混雑と値段から難しかったので、外の移動販売の屋台で購入し、寒風に晒されながら頬張る。ひとくち食べてどれ程空腹だったかに気づいた。