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コルデー回想4
「身長伸びたね。」
「みずきはこれからかな?」
見上げつつ、問いかける。
「みずき、悪い意味で変わったでしょ?駅で、白雪はどうしてみずきだと分かったの?」
んとさー、と考えをまとめるように間を取ってから、改札にむかってきた同世代って、一人だけだったから、と、答える。ふーん、と相槌を打とうとした時、
「それと、そのジャンパー冬着ていたから。」と、戸惑いがちに続けた。愕然としたのを気取られないように笑い声を出す。
「もう、前閉められないんだよね。けどさ、肉があるから寒くないよ。てか、金欲しい。」
「小遣いもらってる?」
「ううん。スマホがあるだけ感謝だよ。年金、あまり貰えないみたいだしさ。周り、農家が多くて手伝いとかしても、米とか野菜で帰ってくるだけてさ。笑えるでしょ。」
「米、売っちゃえば?」
「運賃がないって。」
ふたりでなんとか金策の方法を話し合いながら、ゆきが降り出しそうな空の下を歩んでゆく。