コルデー回想3
住んでいた町に到着した。
懐かしい構内を踏み締め、灰色の空を見上げる。
深呼吸をすると白い息が眼前でたゆとう。
改札を抜けると長身の女子かこちらを凝視している。薄化粧をして髪の毛を肩で巻き、白色暖かそうなコートを着込んだ、大人っぽい少女。彼女が白雪なのか不安になり、じっと見つめ返した。
相手の方が嬉しそうに笑みを作り、わたしに向け右手をあげて大きく振った。
「みすな!」
呼ばれて弾かれたように、白雪と名前を呼び返しながら走り出す。嬉しさに手を握り合い互いに飛び跳ねる。白雪が動く度に良い匂いが鼻腔に届く。
会いたかった、と、目を輝かせる白雪は綺麗だ。感動の再会の儀式を終えて少し話し合い、今は線路の高架下を歩いている。
二駅隣に大きなショッピングモールができたから行こうと誘われたからだ。しかし、待ち合わせがないわたしに合わせて一緒に歩いてくれている。
白雪の内面は変わらずに穏やかで優しい。
「白雪、大人びて綺麗になったね。」
「えー、そう?うち、これから高校生になるし、化粧を研究しているから、褒められると嬉しいな。ねぇ、深夜バスで来たんでしょ?お腹空いてない?」
近況を話し合っていた中、わたしの空腹を心配してくれる。
「へーき。おにぎりを握ってくれたのをバスで食べた。」
そう、わたしの環境は贅沢を望まなければ満腹で生活できるのだ。