表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/26

24.同族との合戦

 ユニコーン会の使者が訪れたのは、それから数日後のことだった。

「結果が出たのか」

「はい」

 使者はゆっくりと告げた。

「全会一致でフィン及び丘陵の馬たちをユニコーン会から追放する」

 そこまで言うと使者の視線は鋭くなった。フィンやオスカーが襲ってくるかもしれないと思ったのだろう。ところが、彼らは身動き一つしなかった。

「なるほど」

 使者は少しだけ気を落ち着けた様子で言った。

「以上だ。失礼させてもらおう」


 彼が立ち去ると、複数の馬たちがフィンの前にやってきた。

「お、長……どうするんだよ!?」

「これ、この丘陵が攻められても、援軍が来ないってことじゃないか!」

「それどころか、ユニコーン会が攻め込んで来るかも……」

 フィンはオスカーを見た。どうやら、早くもオスカーに決断を迫っているようだ。オスカーはあらかじめ用意していた言葉を口にした。

「この後、ユニコーン会が行うことは、良くても交流の封鎖、悪ければ武力での制圧が待っているだろう。その際に戦いに巻き込まれることが嫌な者は、速やかに丘陵を後にせよ」

 馬たちの顔色は見る見る青ざめると、我先にと逃げ出して行った。


 オスカーの後ろで、今まで黙っていたフレディとベンジャミンは苦笑したまま言った。

「ほとんど……いなくなっちまったな」

「世の中、世知辛いもんだ」

 オスカーは2人を見た。

「君たちも遠慮することはないよ」

 その言葉を聞いたフレディとベンジャミンは、つれないなと言いたそうな表情を返した。

「どこに行けって言うんだよ。すでに俺たちは脱走してるんだぞ」

「我々はオスカーに付いて行くと決めたのだ。戦士に二言はない。そうだろうフレディ?」

「ああ、こう見えても元プリースト……つまりは破戒僧だからな」


 2頭が笑い合っていると、ジョニーが木の枝に止まった。

「よー、予定通りすっきりしたな」

 辺りを見回すとよくわかる。残っているのはオスカー、エマ、フィン、フィンレー、フレディ、ベンジャミン、そして人間でありエルフのアンジェリカだけである。

 フレディが言った。

「そういえば、マベリックはどこに行った?」

「前日に、今日の話をしたら、黙って出て行ってしまったよ」

 オスカーが答えると、ベンジャミンは何とも言えない顔をした。

「おい、今度は一体……何を企んでるんだ?」

 

 オスカーはアンジェリカを見ると、彼女は笑った。

「どこまで彼がやれるか、楽しみね」

「ああ」

 一方その頃、ジョニーの友達は狼山で山犬同士のけんかを見物していた。

 ガラの悪そうな山犬は5匹で1匹を攻撃していたが、最初の1匹が返り討ちに遭った。

「ごは!?」

「次」

「舐めるな、よそ者!」

「ぐぶほ!?」

「次」

 ガラの悪い山犬は叫んだ。

「いっぺんに攻撃するぞ!」

「おう!」

 山犬は3匹がかりで襲い掛かったが、その山犬は目を細めると、ボスと思しき山犬に体当たりし一撃で木に叩きつけた。

「ぎゃあ!」

 他の2匹は青い顔をしたまま立ち止まり、木に叩きつけられたボス山犬は、むせ返りながら睨んだ。

「げほ……お、お前……いったい、な、何者だ!?」

「我が名はマベリック。炎の一角獣の家来の中で……最も弱い部下だ」

「う、うわーーーーーー!」

 ガラの悪そうな山犬たちが逃げ出すと、草むらに隠れていた狼や山犬たちが出てきた。

「あ、ありがとうございます」

「礼には及ばん。私は私の覇道のために戦っている」

「覇道……?」

 雌狼が聞き返すと、マベリックはそびえるような狼山の頂上を見た。

「この狼山を平定する。まずはそこからだ」

「それなら、会っておくべき人物がいます」

 マベリックは表情を変えた。

「その人物とは?」

「我々の間では、仙人とも呼ばれる錬金術師が山奥に住んでいるんですが……」

「ほう……何か問題でもあるのか?」

「彼はお弟子さんと2人で住んでいるのですが、少々、性格に難がありまして」

 マベリックは笑った。

「その程度のことで怖じ気付いていたら、オスカー様の部下は務まらんよ」

「わかりました。宜しければご案内しましょう」

「頼む」


 その光景を眺めていたハトは満足そうに笑っていた。マベリックがしっかりとやっていることで安心したのだろう。やがて飛び立ち、空高く舞い上がるとフィン丘陵を見た。

「さすがにただの犬じゃねえや。これからは狼山が熱いぜ!」

 彼は2分ほど飛ぶと、表情を変えた。

「ん……? あれはフィン丘陵の馬たちか。この様子だとフィンはユニコーン会から締め出されたのか」

 ハトはしばらく観察していたが、その中の数頭が道を外れ、雑木林へと入っていく。

「あれ? 雑木林なんて天敵がいるだけなのに……」


 高度を下げ、枝の上に着地したハトは、木の隙間から森の様子を眺めた。

「あれは……水の一角獣オリヴィエント!?」

「で、どうだった?」

 水の一角獣オリヴァーの前には、フィンの部下だった牡馬たちがいたが、いずれも遠慮がちの態度を取りながら密談している。

「はい。フィン丘陵の馬のほとんどが長であるフィンや家畜ヤローを見限りました」

「ほとんどって、何頭だ」

「既に、フィンを見限ってる奴もいましたので、詳しい数はわかりませんが、残ってるのは多くても10頭もいないかと……」

「ほう」

 そう言うと、水の一角獣オリヴィエントは不敵に笑った。

「そうかそうか。そんなところに愛しのエマを置き去りにするわけにはいかん。迎えに行かないとな」

 言葉とは不釣り合いな歪な笑みを浮かべると、オリヴィエントは自らの部下を見た。

「行くぞ、フィン丘陵をわが手に!」

「おう!!」

 間もなくオリヴィエントは70頭ほどの部下を連れ、フィン丘陵に進撃した。

 皆さんこんにちは。エマの弟にして、フィンの第2子のフィンレーです。

 フレディさんとベンジャミンさんは筋肉で勝つとか言ってたけど、大丈夫なのかな? 群れの大人たちも大部分が逃げちゃったし。

 まあ、あの水のユニコーンは、それほど筋肉はなさそうだし、やっぱり筋肉なのかな?


 ええと、どうしたの姉さん。え、ぶっくまーく? 星??

 なにそれ、おいしいの?

 まあ次回も、オスカー空をゆくをよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ