表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/26

20.オスカー乱入

 ユニコーンの亡者は、首だけになりながらも重戦士を睨んでいた。

 重戦士の側には、傷ついた隊長と消耗しきった魔導士が寄り添うように立っている。その表情はまるで、自分たちはもう戦う力は残されていないが、死ぬときは一緒と訴えているようだ。

 ユニコーンの亡者は、まるで大きな火の玉のように負のオーラを燃え上らせていく。

「さあ、来い……!」

 亡者が向かってくる。重戦士も全身から闘気を燃え上がらせて対峙した。

「はあっっっッ!」

 斧の一撃は、頭部の頭蓋骨に深くめり込んだ。亡者もまた口を開いて禍々しく角を光らせている。


――邪悪な一撃が……来る!

 重戦士は目を瞑った。

 すると、目の前に強烈な打撃音が響いていた。重戦士の目の前にあったのは亡者の首や角ではなく、真っ黒な毛に覆われている馬体だった。

「……???……!!」

 オスカーアライズは、重戦士の前を通過すると青い炎を纏った。同時に角も白に近い光を放ち、翼を広げたままユニコーンの亡者を追っていく。


「た、助かった……ではない。我々の獲物が!?」

 ユニコーンの亡者が禍々しい気を放ちながら向かってくると、オスカーもまた角を光らせたまま突進した。両者の角が空中で衝突すると、まるで馬車がぶつかり合ったような轟音と突風が吹き荒れた。

「なぬ……!?」

 直後に、オスカーは膝蹴りを立て続けに亡者に見舞い、続いて背後に控えていた炎弾を7発撃ち出し、ユニコーンの亡者を地面に叩きつけると、自らの角を亡者へと突き刺した。


――私はまだ、納得していない。こんなところで消え去ることなど……

――貴殿の未練は何だ?

――私は、誰よりも速い馬であろうとした。若いの……貴様で構わん。どちらが優れた駿馬か確かめさせろ!


 オスカーは頷くと、亡者の角を咥えあげた。


――いいだろう。私などで良ければ勝負しよう


 オスカーが飛び去ろうとしたら、兵団の重戦士は叫んだ。

「ま、待て、そこの馬……私と勝負しろ!」

 角を咥えたままオスカーは白の兵団を一瞥すると、かつての故郷であるオリヴァー牧場を目指して飛び去った。

「こら、逃げるな……貴様!」

 オスカーの後姿が見えなくなると、重戦士は地面に膝をついて大声をあげた。


 久しぶりにオリヴァー牧場へと戻ると、オリヴァー夫婦は埋葬され、賊や家畜たちの遺体も片付けられていた。オスカーは静まり返った牧場の中へと降り立つと、空を見上げた。

 同じく風の加護を受けたフィンと、ハトのジョニーが遅れてついてきている。

「よ、見事なネコババ……いや、ウマババだったな」

「さすがに僅かな仲間と共に、今日まで生き延びただけのことはある。見事な手腕だった」

 フィンはそう言いながら周囲を見渡した。

「ところで、ここで何を始めるつもりなのだ?」

「この古のユニコーンと、レースを行います」

「え……っ!?」

 まず驚いたのはジョニーだった。

「まじ!? 勝負はもうついてるじゃん」

「今のままでは、彼の魂を浄化できない」

 オスカーが言うと、フィンはクツクツと笑った。

「今は森の主でも、そういう発言をできる者は少なくなった」

 彼はそう言うと前に出た。

「その勝負、私も混ぜてもらおう」

 オスカーは驚いたが、フィンは更に言った。

「もし、私が負けたら……勝者に群れの長の座を譲ろう」

「いや、しかし……」

「ユニコーン会の一翼として、宣言させていただく!」

 言葉を詰まらせている間に、地面に置いていた角が光りを放ち、半透明の栗毛馬が姿を見せた。

『我が名はフォレストキャップ。フォレストゲイルの仔にして、炎の一角獣である』

 その瞳がオスカーを映した。

『そちらの若い者は、炎の加護を既に得ているな。ふむ……これではお主に得るものがないな』

 フォレストキャップは少し考えた。

『では、こうしよう。もし貴殿が勝った場合、私の角は貴殿の子息の誰かに与えるというのはどうだろう?』

「そんなことができるのか!?」

 オスカーが聞き返すと、フォレストキャップは言った。

『これはあくまで、私が始祖に近い立場だから可能なことだ。誰でもできる訳ではない』

「話はまとまったな」


 フィンはそう言うとスタートラインに立った。

 彼の賭けるものは、群れの長としての地位。

 オスカーの賭けるものは、炎と風の角。

 そして、フォレストキャップの賭けるものは、炎の角。


 ジョニーは唾を呑むと尋ねた。

「どれくらいの距離を走るんだ?」

 フォレストキャップが答えた。

『10ハロン戦を希望する』

「ここを2周走れば、だいたい2000メートルだ」

『あいわかった』

 3頭は位置に付いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ