19.乱戦
「う、うわあああああああ!?」
予想だにしていない攻撃に、白の兵団の一行は浮足立った。
魔導士の魔法攻撃は、接近した戦士に当たり、軽戦士同士でぶつかりで統制が取れていない。ユニコーンの亡者は、赤々とした血を頭に浴びたまま、白骨化した体を見せつけるように姿を現し、全身に禍々しい気を纏った。
「情けないぞお前たち、体勢を立て直せ!」
右脚を負傷した隊長が、這いつくばりながら白骨化したユニコーンと距離を取ると、他の戦士たちも交戦しながら隊列を整えようとしていた。
ところが、亡者のユニコーンは目を光らせると、盾役の戦士に向かった。彼は盾を構えて攻撃を受け止めようとしたが、突然表情を変えた。
「……!」
その理由はすぐにオスカーにもわかった。ユニコーンの周囲には、無数の亡霊たちが集まり、まるで馬の大群のように地響きを立てながら盾役の戦士、いや白の兵団全体に向かってくる。
白の戦士たちの表情が凍り付いたとき、鐘の音が響き渡った。
「滅せよ……悪しき魂たちよ!」
未だに立ち上がれない隊長だったが、ハンドベルの音を響かせることで亡霊たちの動きが止まった。しかし、その代償だろうか。ハンドベルもバラバラに砕け散っていく。
「感謝します」
戦士たちが体勢を立て直したときには亡霊たちの姿も消え去り、ユニコーンの亡者だけが残っていた。
「よし、一斉射!」
弓使いがファイアアローを放つと、魔導士たちも大地系投射魔法を放つが、ユニコーンは紫色の光りを纏いながら前へ前へと進んでくる。
今度攻撃に転じたのは、槍使いと軽戦士たちだ。
「アゼルアサルト!!」
風の気を纏った槍が繰り出されたが、ユニコーンの亡者は角で攻撃を軽々とかわした、しかし、それも策の内と言わんばかりに軽戦士がナイフを投げつけた。
「スネークファング!」
その一撃は、ユニコーンの肩に当たると、僅かにヒビを入れたようだ。そのこと自体はとても些細な出来事に見えるが、フィンやオスカーの目にははっきりと事実が映った。
「亡者の右辺の気が弱まったな」
「ええ……」
その代償だろうか、ユニコーンの亡者は槍使いを角で薙ぎ払うと同時に蹴りを見舞い、負のオーラに焼かれた槍使いは悲鳴を上げながら仰向けになぎ倒された。
しかし、白の兵団も負けてはいない。大盾を持つ重戦士2人が盾を構えたまま、ユニコーンの亡者に体当たりを見舞った。
「くらえ!」
今度、押し返されたのは亡者の方だった。バランスを崩したところに先ほどダメージを与えた軽戦士が、もう一方の短剣を構えて突っ込んでいく。
「バックスラッシュ!」
その刃はユニコーンの亡者の背骨に命中した。亡者とは思えない叫びが響くと同時に、カウンターの蹴りが繰り出され、軽戦士は腹部に受けた。
「女神さま……母さっ」
軽戦士が息絶えたため、他の戦士たちも怒りを露にした。すると、それに対抗するようにユニコーンの亡者もオーラを燃え上がらせていく。
「滅せよ亡者!」
弓使いが炎矢を放つと、ユニコーンの亡者の頭に突き刺さった。次に攻撃したのは魔導士だ。
「いけ、茨の鞭!」
地中から這い出た無数の茨の弦はユニコーンの亡者を縛り付けた。
そして、もう一人の魔導士は風魔法を構えている。
「くらえ、大気の裁き!」
その構えを見たフィンは冷や汗を流した。
「あの技は、ウインドドラゴンにさえ対抗できるという……」
――ソニックダガー!!
その一撃は、ユニコーンの亡者の下半身を一瞬で消し飛ばした。白の兵団の戦士たちの士気は一気に高まった。
「くらえ」
「ガイアトマホーク!」
重戦士2人が、メイスと斧を振り上げてユニコーンの亡者に向かっていくと、亡者の目が光った。
なんと、亡者の首が切り離され、亡者は角ごと重戦士に向かっていく。
「バカな!?」
メイスを振り下ろそうとしていた重戦士は、亡者の角の一撃を受けて事切れた。亡者の首はまだ飛び続けている。次にターゲットとなったのは、茨の蔓を出した魔導士だった。
「う、うわあああああああ!?」
魔導士は亡者の首の進行方向とは、90度違う方向に逃れようとしたが、負の気を纏った亡者の首はホーミングして魔導士を背後から襲った。
「ぎゃああ!」
「このおおおおお!」
もう一人の魔導士は風魔法を構えるが、亡者の首は無視して弓使いへと向かった。
「くるなら来い!」
弓使いは長弓を置いて短剣を構えると、亡者の攻撃を短剣で切り払った。
「次で、倒す」
弓使いは鋭く空を飛ぶ亡者の首を睨んだ。亡者の首も旋回しながら弓使いに向かってくる。
ところが亡者の首は直前で止まると、負のオーラを弓使いに吐きかけてきた。タイミング悪く短剣を振りかざしてしまった弓使いは、腕や上半身に禍々しい気を受けた。
「う、うわあああああああ!」
その直後に亡者の首は弓使いの喉元に角を突き刺し、弓使いも倒されてしまった。
残された白の兵団の戦力は、重戦士1人、魔導士1人、負傷した隊長だけとなった。
しかし、魔導士はソニックダガーを撃ち込んだために、オーラの消耗が激しく、無事に戦える戦力は重戦士くらいしか残されていない。
「バケモノ……我々は、お前に屈したりはしないぞ!」
この状況にも関わらず、重戦士は闘志を弱めるどころか、燃え上がらせた。
おおお……
凄い……
これが、古の一角獣の力か……
ああ、そうだな。
うむ。
まさに、我ら亡者の星だ。
ん……星?
…………そうだった。
オスカー空をゆくを、ここまで読んでくれて感謝する。この世界の全ての亡者に代わって礼を言わせてくれ。
そして、我らからお知らせがある。
下の蘭から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】を用いて、この作品の応援をお願いしたい。
☆は我々のように隠れてギャラリーを作っている。ぜひ、ポチっと押して欲しい。
できれば、☆5つ全部が正体を現すように頼む。丸見えの幽霊ほどこっけいなものはないからな。
…………
前回、何かを忘れていると思ったら、これだったんだな。
気づかなかった。
そのセリフは本来、我々が言われなければならないのではないか?
……違いない。




