13.神父の一団vsキメラの生き残り
それから1時間後。オスカー一行はフィン丘陵を一望できる雑木林で休憩を取った。
「具合のいい場所に雑木林がありましたね」
マベリックが言うと、オスカーも頷いた。
「ジョニーに感謝しなければね」
上機嫌な一行とは対照的に、ジョニーはどこか不安そうに言った。
「言いづらいことなんだが、この雑木林を使うには少しばかり不安があってな」
「不安とは?」
マベリックは不思議そうな表情をした。あの亡者だらけの道を平然と勧めたジョニーが不安だと思うのだから、ただ事ではないと思ったのだろう。
ジョニーは言いづらそうに切り出した。
「ここってさ、東にはフィン丘陵、西には狼山、そして南は魔女が住むと言われるルミナ大森林があるだろ。何かあった時に逃げ場がさ……」
「そういう事なら安心して。どっちにしても我々に逃げ場はない」
オスカーが平然と答えると、アンジェリカも苦笑したまま頷いた。
『そりゃそうだよね』
一同が笑い合ったあと、鳥の羽音が聞こえてきた。
「ジョニー、ビックニュースだ!」
「どうした?」
姿を見せたのは、カワラバトの雄だった。
「さっき、戦場跡の向こう側にある森で、キメラユニコーン狩りが始まったんだけどさ。討伐隊の連中……思った以上の強敵で大苦戦中!」
オスカーとジョニーは不思議そうにお互いを見あった。神父たちの討伐対象であるオスカーは、はるか離れたフィン丘陵の奥地、つまりここにいるので当然である。
「一体、誰と戦っているんだ?」
「さあ?」
オスカーは少し考えると言った。
「あの森で何が起こっているのか気になる。何か進展があったら教えて欲しい」
「ほいよ。気が向いたらだけどな」
カワラバトはそう言いながら飛び去った。
「さて、こちらもカマキリのキメラをどう討伐するのか、考えないと」
オスカーたちが作戦を練っている間も、カワラバトは古戦場跡を飛び続け、かつてキメラクマザルが出た森へと舞い降りた。
そこでは神父や傭兵団は隊列を組みながら交戦している。
「ファイアショット!!」
僧兵たちは一斉に魔法を放つと、何かの影は巧みに木陰に隠れながらやり過ごした。
「敵の動きをよく見ろ」
「よし、来るなら来い……化け物め!」
その化け物は、一瞬で木に登ると枝を伝いながら人間側の部隊の真上へと到達し、まっすぐに落下した。
「いくぞ」
「サウザンドスピアー!」
その攻撃は化け物の皮膚を貫通し、無数の血しぶきが降り注いだ。
傭兵たちはしてやったりと言わんばかりの顔をしたが、次の瞬間には顔をしかめた。
「な……何だこの、臭いは!?」
「……ど、毒だ!」
怪物の正体は、かつてオスカーが倒したクマザルの生き残りだった。
その返り血を浴びた傭兵たちは、次々と白目を剥きながら倒れていく。クマザルは怒りを露にしながら、生き残った傭兵たちを次々となぎ倒しながら神父を睨む。
「くらえ、ファイアトマホーク!」
神父が十字を切ると炎斧が現れ、クマザルの頭部に命中した。
直撃したクマザルは木に叩きつけられ、全身を燃え上がらせたが、何食わぬ顔で立ち上がると神父に突っ込んできた。
「もう一射!」
僧兵たちは、炎や風の投射魔法で応戦するもクマザルの足は速く、草でも薙ぐように僧兵はなぎ倒されていく。
「か、神よ……!」
クマザルは神父を木に叩きつけると、勝利を告げるように雄叫びを上げた。
「うぐ……あが……」
無数の傭兵や僧兵が折り重なって倒れているなか、ゆっくりと手を動かす者がいた。
「お、おのれ……こうなったら白の兵団を……」
頭から血を流している僧兵は、震える手で特殊な模様の書かれている封筒を出すと、その封を破って息絶えた。
「……」
その様子を見ていたカワラバトは「一応、これも耳に入れておくか」と呟くと飛び去り、オスカーの元へと向かった。
「……という訳で、生き残った奴が白の兵団とかいうのを呼んでたぜ」
「しろのへいだん? どんな連中?」
オスカーが尋ねると、マベリックは難しい顔をした。
「私も噂でしか聞いたことはありませんが、教団の中でも選りすぐりの強者で、1人当たりの強さが一角獣に匹敵するとか」
「なるほど」
オスカーは東の空を見つめた。
「だとしたら、ここに避難したのは正解と言えるかもしれない」
オッス、オイラはジョニー!
麦が大好きで、いつもみんなにいじられている、お調子者のカワラバトヤローだ。まあ、よろしく頼むよ。
ああそうそう、スィグのヤローからのお使いをしないとな。
下の欄にある【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】で、この作品の応援を……なんだって、聞き飽きた? まあ、俺で13回目だもんな。当然か……
おーい、スィグ、13回も同じこと言うなってよー! えー? なんだって? 聞こえねーよ!
…………
まあ、そういう訳で、今後ともオスカー空をゆくを、4649!




