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祓魔師の話  作者: かめさん
番外編 アリシアさんと小さな祓魔師
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奇妙な包み その3

 ライリーは部屋の前を行ったり来たりしていた。自分にしか任せられない仕事だと言われて、誇らしい気持ちになっていた。だから気になって気になって仕方なかったのである。


 部屋の向こうにいるアレは何も言ってこない。ただ微かにおぞましい気配を放っているだけ。なぜ、アリシアはさっさと祓ってしまわなかったのだろう。


 そういえば、アリシアはお祓いを頼まれていた。ここ最近、そういう理由で礼拝所を出て行くことが多い。ライリーが練習できる時間も少なくなった気がする。


 きっと忙しいんだ。じゃあ、見張っているだけじゃなくて、いっそ自分がお祓いをしておけばもっと喜んでくれるんじゃないか? 自分だってお祓いの仕方は分かっているし、アレの力は弱まっている。きっとできるはずだ。


 そう思ったらいても立ってもいられなくなって、木の枝とか聖水とか、羽とかを取りに行った。


 ようやく着せてもらったぶかぶかのカソックをたくし上げて荷物を抱え込み、そっとドアの取っ手に手をかける。


 前まで背伸びをしても届かなかったのに、いつの間にか腕を伸ばせば届くようになっていた。


 音を立てないようにしながら部屋に入り、荷物を置く。アレはまだ大人しくしている。いきなり叩くのは駄目だ、相手の様子を見てからでないと、というアリシアの言葉を思い出し、念のため、魔除けの枝だけもってマントの掛かった包みに近づく。様子を探るためだ。


 ゆっくりゆっくり近づいて、塩で作られた円の中に手を伸ばしたとき。突如風が巻き起こってマントがはためいた。ライリーは慌てて手を引っ込める。すると、机とマントの間から、鋭く長い爪を持った巨大な腕がライリーに襲いかかってきた――。


 

   ***



 包みが心配だったアリシアはできる限り早めにお祓いの依頼を済ませ、走って礼拝所まで戻ってきた。門が見えてくると、ビルがこちらに手を振っているのが見えた。


 彼の前でいったん立ち止まる。肩で息をしている彼女に構わず、ビルが話し始める。とても張り詰めた表情をしていた。


「ライリーの悲鳴が聞こえて向かったら、祓い部屋の方からベンにお前を呼んでくるよう言われたんだ。近づくなって言われたから何が起きたのか分からねえが、とにかく今すぐ向かってくれ」


 アリシアの顔から血の気が引いていく。もう呪物の力が戻ったのだろうか。ライリーと祭司の身に危険が及んでいる。彼女は全速力で部屋に向かった。


 やはり多少約束に遅れても封印をしておくべきだったのだ……。


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