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祓魔師の話  作者: かめさん
番外編 緑萌ゆる恋の季節
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家族の絵

 彼に連れられて行ったところは、ブラッドリーの中心部にほど近い、大きな商店が並ぶ通りだった。彼が立ち止まったのは通りの端にある、こぢんまりとした店の前。


 机の上に、指輪やネックレスといったアクセサリーが並べられ、奥の棚には杖がびっしりと立てかけてある。看板には、チャンドラ商店と書かれていた。若い女の人が二人店番をしている。彼女らが、ダリルを見て、何か言いたげにしていたが、彼は平然とした態度で、ベラを裏口へ連れていく。


 裏口は、台所へと繋がっていた。竈でスープを煮込んでいた使用人の女性が、驚きと非難の籠もった声でダリルに話しかける。油はねのシミが前掛けに飛び散っていた。


「お坊ちゃま、こんなところから入って。どちらにいらっしゃったんですか」


「ごめんごめん。とりあえず、この方に飲み物を出してくれる?」


「ええ、まあ、はい。承知いたしました」


 使用人とのやりとりを見て、ここがダリルの家であることを悟ったベラは、不満げな声で彼に詰め寄った。


「ちょっと、良いお店があるって言ってたじゃない。どういうこと?」


「いやー。ここもお店ってことで、どうかな? 折角会えたんだから、ゆっくりお話したくて。すみません」


 確かに、お店と言っていたが、酒屋とも食堂とも明言してない。ベラは納得がいかないと思いながらも、部屋に案内するという彼の後をついて行った。


 廊下を歩いていると、ずらりと並べられた絵の数々が目に入った。肖像画のようである。恰幅の良い男の人、すらりと立った女の人、ずらりと並んだ子供達。家族の集団肖像画。


「家族が増える度に書いてもらうんだ」


 廊下に並ぶ全ての絵において、ここの家族がモデルになっていた。左右を比べながら見返すと、店先の方へ行くにつれて、人数が増えているのが分かる。ベラはもう一度廊下の端へ来た道を戻った。一番端の絵には母親に抱かれた赤ちゃんが一人と、父親に寄り添って立つ小さな男の子がいた。


「この子は、誰かしら?」


 男の子を指さして、ベラが尋ねる。


「多分、僕だよ。妹が生まれた時のだね」


 ダリルが絵をのぞき込む。


「あら」


 絵の左下に、小さく一八八七、花月、第一ウィシュトリーの日(十日ある一週間のうち、八番目の日)と書かれているのを見つけた。絵に描かれたダリルの頭が、父親の膝上辺りにある。この絵に描かれているダリルが、大体三歳から四歳位だと考えると、ダリルはベラと同じ位の年である。


 気づかれない程度に、ベラが肩を落とす。ダリルは、アシュリーの弟であるという予測が正しければ、絵の中に彼も描かれているはずである。本当に他人のそら似なのだろうか。再び謎に包まれてしまった。


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