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祓魔師の話  作者: かめさん
番外編 緑萌ゆる恋の季節
59/115

それから二年経ったある日のこと

話の展開の都合で、短めとなっております。

 魔法学校の門の近くに道具販売の人が立っていた。小さな机に杖や帽子、筆、明かりなど、こまごました物を並べ、スツールの上に店の人が座っている。背後には手押し車が止まっていて、荷物が積まれていた。


 季節の変わり目になると、小間物商が学校の近くに露店を開くことがある。この機会に勉強道具を買い換えようという学生が多いのだ。


 ベラもご多分にもれず、そろそろ新しい筆でも買おうかと思いたち、商人のところへ向かった。商人の顔がはっきり見える所まで近づいた時、息をのんだ。


 普段、露店には老人が座っているのだが、今日は不思議なことに、若い男が座っていた。そして、その顔立ちは思いを寄せるアシュリーと瓜二つだったのである。


 ベラの心臓が高鳴る。机の上に並べられているペンを選ぼうにも、全く目に入ってこない。


「これなんかどうでしょう」


 アシュリーのそっくりさんが、羽の先が空色になっているペンを手に乗せる。その羽はまるで、幸福を運ぶ青い鳥。手に取ると気分が晴れやかになりそうだ。


「あら素敵。これ頂くわ。ありがとう」

 

 ベラは一目見てすっかり気に入ってしまった。鞄の中から銅貨をとりだし、相手に差し出す。若い男は、笑みを浮かべながらその手を軽く包み込んだ。細めた目から、商品を買ってくれた客に向けるもの以上の視線が含まれている。


「自分、ダリルと申します。以後、お見知りおきを。お名前を伺っても良いですか」


「ベラと言いますの」


「まあ、なんて素敵な名前だろう」


 ベラは、慌てて手を引っ込め、小走りで露店から離れる。手を頬に当てる。熱い。赤面する彼女の顔は、まるで熟れたリンゴのよう。


「ベラちゃんか。可愛い名前だね」


 彼女の耳にこだまするのは、二年前に聞いたあの人の声。


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