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君と千の鳥  作者: 耀
42/46

4-10

 颯は頭を振り、その考えを頭から追い出す。また考え始めてしまうところであった。そんなことは戻ってからいくらでも考えることができる。反省はその時にすればいい。今はそれよりもミイナを連れ出すことが先決である。

 冷静になったらしいミイナが颯の目を見て話しかける。

 「ありがとう颯君、でも近いのよ、今見つけないと姉さんはまたずっと氷の中」

 ミイナがお願いというように颯の目をじっと見つめる。

 「でも、このままではミイナさんも危ないですよ」

 颯はその視線にどぎまぎすることはなく素直な思いを伝える。

 「私はいいの、それよりも姉さんを早く見つけないと」

 「よくないですよ、さあ帰りましょう」

 「颯君一人で帰って」

 どうやらミイナはレヴィンを目指した姉を探す妹に自分を完全に重ね合わせているようだった。冷静になったとはいえこのままではまたいつ先ほどの状態になるかもわからない。

 颯は無理やりミイナの手を引っ張る。

 「何するの颯君」

 「帰ります」

 「嫌、もうすぐで姉さんが見つかるのに、颯君は見つけたくないの?」

 もちろん颯だって見つけられるものなら見つけたいが、颯にとってはそんなことよりミイナを守りたいという気持ちの方が強い。

ミイナの気持ちも理解できるが死んだ人間より、今を生きることを考えたいのである。

 「見つけたいですよ、でもそれは後でもいいじゃないですか。また、探しに行きましょう」

 「今がいいの、見つけなきゃ」

 またミイナは軽い錯乱状態に陥ったように見つけなきゃと口の中だけで何回もつぶやいているようだった。。

 「今じゃなくていい、後で一緒に来よう、な」

 颯の言葉もむなしく、ミイナが颯の手をふりほどきまた探しに行こうとする。颯は必死にミイナを呼び戻すがミイナからの返事はない。

 

 仕方なく後15分だけだと無理やり自分を納得させる。

 「分かりました、ミイナさん後15分だけですよ」

 颯の思いが通じたのかインカムからは「うん」と短い返事だけが聞こえてきた。

 

 5分ほど周りを探したころ、更に風が強くなってきた。颯が15分経ったと嘘をついて引き上げようとした時、颯の目の間にいるミイナからこの視界が悪い中でもはっきりとわかるくらいの光が漏れた。


本日も読んでいただきありがとうございます。

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