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君と千の鳥  作者: 耀
35/46

4-3

 さらに30分ほどバイクは走り続けたところで、景色は誰の目にも明らかなほどに変わってきていた。まず、颯の住む地域ではあまり目にしない雪が道路に積もっている。さらに空が灰色の雲に覆われている。後ろを振り向くと山は白く雪化粧をしていた。いつも学校側からしか見ないので手前の山のこんな景色を見るのは新鮮な気持ちがした。

 また、目の前にある白い壁がいよいよ大きくなってきていた。前の方にこの先ルイミ山と書かれた古びた看板を見つけた。だが、それも一瞬で過ぎ去って過去の現象となっていく。

 ルイミの地域の中に入ってきたんだと颯は実感した。

 また、しばらく走ると視界が急に白いもので覆われた。バイクがスピードをおとす。

 ミイナがバイクからおり、颯にも降りるように促す。

 颯はその指示に従いバイクから降りる。下を見ると道路ではなく雪に覆われた氷の上に立っているということが分かる。その下はルイミ海である。

 「ルイミ山の域に来たね」

 「そうですね」

 颯はやはり気の利いたことは言えない。

 ミイナはヘルメットを外して

 「ヘルメットは外して。ここからはこれをつけて」

 そう言ってミイナが渡してきたのはインカムであった。

 「ブリザードの中話すならこれがないとね」

 颯はミイナの指示に従ってバイクのシートを開いてその中にヘルメットをミイナと同じようにしまい込む。そしてインカムをつける。確かに普段のバイクを走らせているだけでも声は風に流れて聞こえづらいので、通信機器がなければブリザードの中だと余計に何も聞こえないだろう。

 前を見ると一面真っ白で先は見通せず、ルイミ山がどこにあるのかさえ分からないほどに視界が悪い。

 「何かあったら必ず言ってね」

 ミイナは祈るようにそう言うと再びバイクに乗る。颯もバイクに乗りその肩を持つと、早速インカムから指示が流れてきた。

 「颯君、私の腰に手を回して」

 颯が戸惑っていると、

 「遠慮しなくていいから」

 と、真剣な声音でもう一度指示があった。

 お互い厚着をしているのでそんなに感触はないかと思ったが、やはり意識をしているのか、ミイナの柔らかい体の感触が伝わってきて、こんな時だというのに颯は緊張する。その時また寒気がした。それもさっきよりもさらに強めである。やはりいいインナーを着ていてもそこに包まれていない部分は当然のことながら寒さをもろに受けるので寒気がしたのだろう。

 颯は痛みよりはましだと思った。


本日も読んでいただきありがとうございます。ここから初めて読んだという方はぜひ初めから読んでいただけると嬉しいです。

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