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君と千の鳥  作者: 耀
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1-2

 ただ、家からこの公園までは近いのですぐに帰ることができるのは良かった。まあ、だからこそこの公園に来るのではあるが。そのようなことを考えているうちに寒さに耐えることができずに限界が来たので颯はその場を離れて家にと帰った。


 翌朝、昨日の夜珍しく雨が降り、その雲が残っているせいか、今日の朝は昨日ほどには寒くなかった。 颯は雨の気配が少し残る道を歩きながら、学校へと向かっていた。

 学校には普段から公園と池の周りを通っていくのであるが、今日も何人かの人が犬の散歩をしたり、ウォーキングをしたりしていた。それらを横目で見ながら池の周りを半周ほど回ったところで学校の正門へと着いた。

 学校へは徒歩10分ほどである。

 石でできた高い門柱に鉄製の横にスライドする門。そして普通の公立高校よりは大きいであろうグラウンド。

 幼いころに見かけた時にはここが刑務所なのかと勘違いをしていた。

 だが、そんな刑務所の中に入るのもあと少しである。

 今日の始業式を含めると10日ほどで颯たち3年は大学受験のための自宅学習期間に入る。

 その後は卒業式の前日のリハーサルまで登校日はない。

 正門を抜け、昇降口で靴を履き替え教室に入るとHRまではまだ50分ほどもあるのに、既に3分の2ほどの生徒が来ていた。

 颯は、家が近いため、1年の頃から同じような時間に来ているが、3年になってからのこの9カ月ほどでこの時間帯に来る生徒は随分と増えたように思う。

 4月の頃には補習や部活動の朝練などの用事がある生徒しかいなかったこの時間帯には、受験が近づくにつれて朝の時間を自主的に勉強に当てる生徒が増えてきた。

 また、1年や2年のころなら、登校してきた後もHRが始まるまでの時間を昨日見たドラマの話などに当てるため騒がしい教室も今は静まり返っていて、生徒たちは少しでも知識を詰め込もうと参考書を眺めたり、問題を解いたりしている。

 颯が早く登校してきているのは補習などの目的ではないので、その静寂を壊さないように静かに自分の机に荷物を置くと、いつも通り教室を出た。

 颯は、2階の廊下を渡り、図書室に向かう。

 颯たち3年の教室はB棟と呼ばれている建物の2階にある。ちなみに1年は同じ棟の4階、2年は3階にあり、「年を取ると体力的にきついからこの配置になっている」と生徒の間では冗談めかして言われていたりもする。

 ちなみに図書室はA棟と呼ばれている建物の3階にあり、2階は職員室になっている。職員室前には質問のために来ているのであろう生徒の姿も何人か見かける。

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