表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

Ⅲ.とまどいの日々



事件から一週間。


「亜紀、大丈夫か?」

「うん、だって家にいるの退屈なんだもん!ま、バイトはもう少し休むけど、教員採用試験まであと半年くらいしかないし。大学で試験対策受けないといけないからね。」

「賢くん、送り迎えありがとうね。」

「いえ、僕の役目なので大丈夫です。それに、東京にいるときは出来るだけ一緒にいたいので。ツアー中は亜紀のお母さんやお父さんにもご迷惑をおかけしますが…。」

「いいのよ。大丈夫。さ、遅れるわよ。」

「お母さん、お父さん行ってきます!」

「いってらっしゃい!」

「賢くん、よろしくな〜!」



車に乗り込むと、亜紀はちょこんと座った。

「亜紀?本当に大丈夫?」

「うん。平気!大丈夫だよ!」

無理して言ってる姿に胸を締め付けられる。


「ごめんな…」

「なんで賢が謝るの?」

「だって…」

「わたしは、どんなことがあっても賢と一緒にいられて嬉しいよ。だから、もう謝らないで?」


亜紀はそういうと、俺の頬に手を当てた。


「うん、わかった。」


「あ、亜紀。」

「ん?」

「一緒にいてくれてありがとな。」


改めていうと気恥ずかしくなって、亜紀から目を逸らしてしまう。

そんな俺を見て、亜紀は微笑んで頷いてくれた。




「じゃあ、16時に迎えに来るよ。」

「うん。ありがとう。行ってきます!」

「いってらっしゃい!」


大学の門の前で相沢くんが亜紀のことを待っていてくれた。

亜紀は、本当に仲間に恵まれているなと思う。



亜紀を見送って、事務所に向かうと玄関に記者が数人待っていた。

ここ数日、煌のことが報道され、色々嗅ぎ回ってる様子だ。


「週刊新生の山岸です。剣斗さん、谷沢亜紀さんとはいつからお付き合いされてるんですか?」

「………。」

「四谷大の教育学部3年。ミスコンでは毎年上位の常連。」

「申し訳ないですが、取材は事務所を通してください。」


振り切って事務所に入ると、メンバー3人と久山、充さんが話し合っていた。


「剣斗、大丈夫だったか?」

「ああ。でも、亜紀のことよく調べてるな…大学まで付けてるのかもしれない。」

「まじかよ。」

「亜紀ちゃん、大丈夫かなあ。」

「今日から大学の授業に戻ったけど、何かあったら連絡するし、迎えにも行くよ。」

「俺らにもできることがあったら言えよ。」

「ああ、ありがとう。」



「剣斗、ちょっといいか?」

「はい。」


充さんに社長室に呼ばれた。


「亜紀さんのことなんだが…。」

「心配かけてしまってごめんなさい。」

「一般人だから、普通の生活をできなくなってしまったら困るよな。」

「ええ。来年の夏には教員採用試験を受験する予定なので…。」

「そっか…教師志望なのか…。」

「はい、その夢は俺は邪魔したくないです。」

「別れろとは言いたくないが、少し落ち着くまで距離を置くのはダメか?」

「え…」

「DIM-TAMも大事な時期だしな…。」

「はい…そうですね。」

「亜紀や、亜紀の家族と話し合います。少し、時間をください。」

「事件のことがあったばかりだしな…。亜紀さんには負担をかけて申し訳ないけども…。」

「いえ、色々心配かけてしまってすみません。」

「大切な人を守るためにどうすればいいのか、一緒に考えていこう。」

「はい、ありがとうございます。」



部屋から出ると、次の新曲の打ち合わせが始まった。


「柳が作った曲をメインにしていきたい。メロディアスで頭に残りやすい。」

「作詞は魅波、頼むな。」

「おう。」

「B面は、デビュー前の曲がCMタイアップに採用された。」

「え!?すげーじゃん!」

「ヘアカラーのCMだっけ。」

「それで、そのCMに魅波が出演することになった。」

「え!?俺?」

「バンドの顔だしなー。これでもっとファン増えるかもよ?」

「よっ!バンドの顔!」



売り出し中のDIM-TAMにはかなりお金がかかってる。


大人がたくさん動いている。


もし、俺らが活動を辞めたとしたら


仕事を失うスタッフも出てしまうだろう。





「おい、剣斗。聞いてるか?」

「ああ、うん。」

「ま、今は無理するな。」

「でも、そんなこと言ってられないだろ…

俺たちが立ち止まったら、誰かに迷惑かけるだろ。」

「剣斗…」




どうしたらいいのだろう…




一週間経っても答えは出なかった。












.

更新が久々になってしまい申し訳ありません。

あっという間に今年も下半期を2ヶ月半すぎたところですね。

いつのまにか「小説家になろう」のサイトもリニューアルしていて、投稿しやすくなりました!

少しお仕事が落ち着いてきたので、これから更新機会が増えるよう頑張ります!


樋山蓮

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ