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ハクリュウ陸軍浜松連隊接触する

この小説は「日本新世紀、変革の果ては星間国家へ」http://ncode.syosetu.com/n4880ds/

の枝編です。

 ハクリュウ乗り組み員27人リスト(全員独身)

 艦長;佐川良太2佐、35歳、防大卒、身長175cm、趣味-サッカー

 副長;西村義彦3佐、32歳、防大卒、身長171cm、趣味-読書(仮想戦記)

 機関長;永田健司3佐(工学博士)32歳、某国立大機械学科卒、身長175cm、趣味-機械いじり

 砲術長:斎藤雅人2尉、28歳、防大卒、身長180cm、趣味-ネットブログ

 航行士官:山田慎吾2尉、28歳、私大工学部卒、身長167cm、剣道4段

 水谷順平3尉、25歳、防大卒、商船大卒、身長175cm、趣味-読書(文学)

 梶 健太郎3尉、25歳、国立大化学科卒、身長170cm、空手2段

 下士官;外山一平曹長、34歳、工業高校卒、電気・電子の専門家、身長168cm、趣味-ボディビル

 河野啓二一曹、30歳、工業高校卒、機械担当、身長180cm、趣味-機械いじり

 三波寛治2曹、28歳、一般高校卒、砲術担当、身長172cm、趣味-ネットサーフィン

 奥村淳2曹、27歳、専門学校デザイン卒、航法担当、身長175cm、趣味-音楽

 瀬川勝彦3曹、25歳、工業高校卒、環境装置担当、身長165cm、趣味-ネット小説書き

 西田勝3曹、24歳、工業高校卒、航法担当、身長173cm、柔道3段

 一般兵:篠山健司一士、23歳、工業高校卒、砲術担当、身長170cm、趣味-音楽

 湯川恵一一士、22歳、一般高校卒、環境装置担当、身長178cm、趣味-ネットサーフィン

 村木 徹一士、22歳、工業高校卒、航法担当、身長、166cm、趣味-卓球

 看護兵:永田英二一子、21歳、専門学校(医療)、医療担当、身長175cm、趣味-長距離走


 身長は、西村に近く、兵の中では長身の吉川は余りに異様な光景を見たせいで、舌がもつれるが西村にかろうじて話しかける。

「に、日本国と言ったが、貴殿は我々と似ているが、服は全然違う。また航空軍とは?」


 西村は落ちついて、ハクリュウを振り返って指して吉川に説明する。

「これは我々航空軍のハクリュウという飛行戦艦です。しかし、まずは、とりあえずあの3隻の船を片つけましょう」吉川はすこし冷静になって返事をする。

 

 確かにあの敵船をどうにかするのが先決だ。「わ、わかった。どうすればいいのか?」


「あの船には各々200人以上乗っています。銃もあなたたちが持っているものより優秀なものを持っているはずなので、うかつに近づかないようにしてください。

 今の距離だったら大丈夫だとは思いますが」

 今の吉川たちの位置は、座礁した船から300mほどもある。船では、銃をもった男たちがこっちを指さして騒いでいる。


 それを見ながら西村が続ける。「まず、我々は眠り薬の入ったガスをあの船に打ち込んで、あの乗り組み員を眠らせます。幸い風は海に向かって吹いているのでこっちには影響ないでしょう。

 しかし、あの高さには登れないので、あの松の木を立てかけますので、それを伝って登って、眠っている敵兵を縛ってください。綱はありますか?」


「綱、ああ、無論、いろいろ引っ張るときに使うからな。しかし、松の木をどうやって?」訳が分からず、吉川が聞く。


「まず、彼らを眠らせます。こちら、西村、3人が催眠弾を充填したグレネード銃を持って出てきてくれ」西村は、吉川に答えたのち、携帯端末に話しかけると、間もなく灰色の戦闘服を来た三波2曹と湯川、村木両一士がグレネード銃を構えて出てくる。


 それから、彼ら3人が座礁した3隻の船に向かって50mほど前進すると、船の乗組員は鉄砲を構えるものの射程外なのだろう撃たない。3人は膝をついて構え、催眠弾を船に向かって撃つ。

 白煙を発して弾が弓なりに船に飛んでいき、三波と湯川の弾は船の甲板に吸い込まれたが、村木の弾は外れたので、彼は慌てて再度充填する。

「村木!慌てるな、落ち着け!」という三波の声に深呼吸して再度撃つと今度は甲板に吸い込まれた。見守っていると、甲板上の敵の動きがおかしくなる。慌てたように海に飛び込むものも数人いるが間もなく舷側に見えていた姿は消えてしまった。


「よし、効いたな。たぶん、乗組員は皆眠ったとはずだ。今からあれらの艦に登れるようにするので、登って行って乗り組み員を縛ってくれ」


 西村が、吉川に言うが、彼が憤然と反論する。「縛る?なんで殺さないのだ?あいつらは、我々の住民や同僚を数えきれないほど殺した奴らだ。当然殺すべきだ」


 その目を見て、これはきれいごとで済まないなと思った西村は言う。

「情報収集だ。いずれにせよ、九州は取り返す必要があるから、そのためには取れるだけの情報がいる」

「情報収集は拙者も同意するが、そのためだったら数人いればいいだろう?」吉川からそう言われて西村は詰まってしまった。

 たしかに、スイレン帝国の連中は、日本人を人間でない有色人種として扱ってその軍事力の優位性を生かして虐殺も平気でしただろう。彼らの命を助ける合理的な理由などある訳はない。


「これは、私の属する軍の戒律である。無抵抗のものは殺してはならん。貴君もここは私の命令を聞いてくれ。いずれにせよ私は、君たちの軍あるいは政府の最高責任者に会って、彼らをどうするか決める」西村は断固として吉川に言う。


 吉川は、それに対してさっと敬礼をする。「わかりました。我々及び浜松の人々はあなたのハクリュウに救われました。西村少佐殿の御命令通りに彼らを縛り上げます。しかし、どうやって登れるようにするのでしょうか?」


 西村は答礼してニヤリと笑って言う。「ありがとう。まあ、どうするか見てくれ。初めてみることになるとおもうぞ。ああ、吉川さん、あの松を梯子にしたいので引っこ抜くがいいかな?」


「ま、松、あれを梯子に?」吉川が戸惑っていうのが、確かに座礁した船の近くに高さ25mほどもある松の林がある。「ああ、ちょうど長さとしてはいいと思うが」西村が返すが、吉川が尚更戸惑って言う。

「出来るならいいですが、あんな太いものをどうやって?」


「じゃあ、始めるよ」そう言って、西村は携帯端末に向かって声をかける。

「では斥力装置で、2本ずつ梯子になるようにそれぞれの船にかけてくれ」

 それを聞いていた、艦内の西田3曹は「了解、では行きます」と携帯端末に声をかけて操縦席から船腹の松林に向かった窓のシャッターを開いて、操縦器で斥力装置を操る。


 吉川と、そばに立っている部下は松の木が広く張った根ごとに引っこ抜かれて地上10mほどに浮かび、その状態で一番近い敵艦の舷側にゆっくり近づき根を砂浜に降ろしてその太さ1尺もある幹を原則にドンという音とともに凭れかけるのを唖然として見ていた。

 さらに同じようにもう1本が、根と枝をバキバキ折りながら並んでもたれかかる。地上にはもつれた根が絡まり、船上には枝が絡まりあって密に茂っている。


「あ、あれは、どういう?しかし、あれだけ絡まっているとちょっと登るのは難しいかも」吉川はおののきながらも言う。


「うーん、そうだな。おい、西田、枝と根をどうかしないと登れんぞ」端末に話しかけると

「了解、根と枝を払います」端末がしゃべり、まず根がいくつかにズバ!ズバ!と切られ、周囲に払われ、続いて枝が茂った幹が舷側の少し上で切断されて、枝の部分が海岸に飛んでいく。

 また、その後根もその枝に重ねられる。


 こうして、結果的に丸太になって海岸の砂浜から舷側に大体40度の角度で凭れかかった2本の丸太を見て、西村が「どうだ、これならいいだろう?」と得意げに言う。

 吉川は、頭をガクガクして「ああ、もちろん」そう答える。

 このようにして、3隻の敵船にはそれぞれ2本の丸太がもたれかかった状態になって、それに吉川の中隊の大工がてきぱきと横桟を打ち付けて立派な梯子が出来上がった。


 そこに、隠れていた塹壕から駆けつけてきた吉川の中隊の残りのものも協力して、敵船の乗り組み員を縛り上げた。

 ちなみに艦内で確認できた25mmのレールガンが命中したことによる被害は、砲塔が吹き飛んだ艦で250人中75名、その他の2艦は合計で35名であり、捕虜の数は合計で640名であった。この中で、敵が持っていた銃が回収され、さらに銃器庫も見つかってその中身も集められた。

 

 こうしているうちに、数千人はいようかという大部隊が近づいて来る。

 その先陣を切って、5人ほどの騎馬の一行がやってくる。その先頭には立派な帽子をかぶった白髪の軍人らしい偉丈夫がおり、近づいて来る彼らの目は殆ど敵艦3隻とハクリュウに向けられていたが、やがて吉川と西村に向いてその横にピタリ止まる。


「村山連隊長閣下!」吉川が敬礼して、声を張り上げる。

「おお、吉川君。これはどうしたことかな?して、その方は?」村山連隊長と呼ばれた偉丈夫は、張りのある声で吉川に声をかける。


「は!この方は、日本国航空軍の西村少佐殿で、このハクリュウと言う艦に乗っておられました。この、ハクリュウは敵艦を3隻とも撃破して、なおかつ、どうやってかはわかりませんが、あの3隻の艦をそこまで引っ張てきて逃げられないよう座礁させました。

 さらには、そこに居られる3人の方が何かの弾を敵艦に撃ちこんだところ、敵艦の乗り組み員は皆眠りましたので我が中隊が縛りあげたところです。敵の捕虜の数は640名であり、敵の銃器も回収してあります」なかなか要領のいい説明だ。


「うむ、いきさつはわかったが、理解はできん」

 連隊長は、そう言ってからゆっくり馬から下りて、西村の前に行って緩やかにしかし鮮やかな敬礼をする。西村に比べると小柄だが、がっちりした鍛えた体で風雪に耐えてきた顔だ。

「日本陸軍、浜松連隊長の村山廉太郎です。話を聞くと、我が国がいまだかって破ったことのない敵艦を撃破してかつ、捕獲までした頂いたとのこと、浜松の街も半分は救われました。お礼を申し上げます」山村は、西村の目を見てはっきりと言って頭を下げる。


 これに対して西村も敬礼して応じる「西村少佐です。日本国航空軍ハクリュウの副長です。艦長はすぐに参ります。艦長が先に外に出て万が一のことがあってはならないということで私が外の作業の指揮をとっています」


 そこに、佐川艦長が斜路を降りてきて、キビキビと村山の前に来て敬礼をする。

「ハクリュウ艦長の佐川良太中佐です」


 村山が答礼して名乗る。「村山廉太郎、浜松連隊長です」

「では、よろしければ、すこしお話をさせてください。仮のものですが椅子と机を用意します」西村の言葉に、乗り組み員の手で、ハクリュウからアルミの机2つと、折り畳み椅子を10脚ほど持ち出してくる。

 佐川と、機関長の永田が並んで、対面するのは村山と第1大隊長の陣慎吾である。副長の西村は佐川に代わって艦橋に詰めている。


「われわれは迷い人なのです。我々の日本は違う世界の日本です。言葉も一緒、文化のたぶん殆ど一緒、顔つきも一緒ですが、違う世界です。迷い込んだ状況から考えれば、たぶん我々は元の世界には帰れないと思っています。

 したがって、我々はこの世界に住み着こうと考えていますし、住むならこの日本にしたいと思っています」佐川は村山と陣の目を見て言う。


「なんと、迷い人!またどのように?」陣が驚き聞く。

「この船、ハクリュウは星の世界を旅することができる戦闘艦です。私たちは、星のかなたから来た私たちのこの世界を滅ぼそうとする者たちと戦っていました。その際に、このスイリュウが敵艦のそばを通過しようとしたとき敵艦が大爆発を起こして、このスイリュウはこの世界に飛ばされてしまったのです」


「うむ、良くわからんが、それは貴殿等にとっては大変ことだとはよくわかる。また、貴殿の艦は飛べるということだけをとっても、また侵略者のはスイレン帝国の艦を打ち破ったことを見ても、極めて強力なものだと思う。また、こうした艦を作れるということは、貴殿たちが極めて進んだ知識を持っているということかな?」今度は村山が口を開く。


「ええ、このハクリュウは余り大きなものではありませんが、殆ど無限の動力を持ち、この世界では間違いなく最高の守備・攻撃の力をもっています。

 これは今日スイレン帝国の巡洋艦を簡単に撃破したようにいかなる敵艦も打ち負かせます。また、私たちの世界ではこの船を作るだけの知識と産業がありましたから、皆さんが考えつかないような様々な便利で有用な知識を持っています。したがって、私たちがいて、その知識を活用して頂ければ、日本の人々の生活は想像がつかないほど豊かで安楽なものになるはずです」佐川が言う。


「おお、それは有難い、なにより我が国は現在スイレン帝国に降伏を迫られており、それを受け入れるまでということで、今日のように海辺にある街が次々に破壊されているのだ。

 九州はすでに占領されて、人々は奴隷として酷使されているとか。九州の例、また台湾や中国の例を見ても、例え全滅してもスイレン帝国の支配下に入ることは出来ん」陣が悔しそうに言う。


「船に関してはいくら敵艦の数があってもハクリュウが居れば大丈夫ですが、地上については隠れられるとどうにもなりませんし、人質でも取られると困りますからまた別の話です。

 まず、敵の艦を全滅させて、補給を断ちましょう。それにつけても、出来たらお国の軍の中枢の方とお会いして今後の方針を決めたいのですが。

 また、その前に今日のような沿岸部を攻撃するような艦隊があれば、片つけてしまいたいのですが。ご存知ありませんか」佐川の言葉に、村山が答える。


「うむ、我が国の中央政府は東京にあり、軍本部もそうだ。軍中央には私の友人もおり、つなぎは出来るぞ。また、わしの聞いている範囲では、沿岸部を荒らしている艦隊は2つあるということだ。一つがここ浜松ということは、もう一つはたぶん日本海側だの」


「わかりました。では、日本海側に行ってみましょう。その艦隊を片つけてその足で東京に行きますので、村山師団長は同行願いますか」佐川が言うと、村山は「あの艦隊を片つけて東京とな!うむ、発想が違うのう」そう一人ごちてから、さらに言う。

「さて、わしは副官代わりに吉川金吾を連れて行くかな。吉川良いかな?」


「はい、むろんです」吉川の返事を聞いて村山が佐川に言う。「うむ、準備もあるし、明日朝出発と言うことで良いだろうか?」


「いえ、そうですね。まだ日も高いし、ちょっと行って片つけましょう。被害が広がったら嫌だから。10人位だったら乗れますが、どうです。希望者は?そう暗くなる前には帰れるでしょう」佐川が逆に提案する。

「ええ、よろしいのですか」村山についてきた将校連中が目を輝かす。結局村山、吉川、陣は無論、希望枠を超えて13人が乗り込んだ。さすがに知識欲の高い日本人である。


 地上20kmに舞い上がり時速2千kmで飛んであっという間に若狭沖に出たとき、レーダーが新潟沖で艦船をキャッチするが、近づくと新潟上空で煙が舞っている。

「遅かったか」佐川は苦い顔をしつつ、高度を落として前進すると浜松で見た巡洋艦と同型艦が3隻沖に向かっており、これらは、岸からすでに20km離れている。


「よし、撃沈する。中途半端に残すと彼らの銃も強力だから危険だ。上空から25mm弾を撃ちこむ」乗り組み員が生き残るような形で敵艦を破壊すると、ボートで上陸されて地上に被害が出るのだ。


「敵を先頭の艦からA、B、Cとする。速度を100km/時に落として全25mm、4門の砲はAを狙え」


「速度を100km/時に落とします」山田航行士官が復唱し、「全4門の小型砲でAを撃ちます」砲術長の斎藤が復唱しコンピュータをセットする。


「今!」斎藤が鋭く言うと、かすかなショックがあって、径25mm長さ50mm重量200グラムの砲弾が秒速5kmで放たれる。

 その一発は砲台の200mmの正面装甲を打ち抜いたところで爆発し、打ち抜いた鋼材ごとに高温・高速のメタルジェットとなって砲塔内を走り抜け、中にあった火薬を発火させる。

 別の一発は甲板に斜めにもぐり込んで、機関室のエンジンブロックで爆発してエンジンに穴を明けてその圧力を解放する。

 さらにもう一発は司令塔の基部の、正面鋼板150mmを打ち抜いて爆発してそのメタルジェットが兵員室を走り抜け一人の兵の胴体を通り抜けその後2枚の鋼板を打ち抜き3枚目で止まる。

 最後の一発は装甲の無い僅か25mmの鋼板を打ち抜き船底まで潜ってようやく爆発させて計100mmの穴を明けて海水を蒸発させた水蒸気爆発を起こす。


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