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7 大地の精霊のおかげです

どんどん生えてきます。ちなみに、あ行で始まる名前が土の性質あるというのは本当に姓名判断の本に書いてます。総画数に関することも基本的に本当に本に書いてあることです。

 その自称大地の精霊はなおも私に語りかけてくる。


<あなたの大地の魔法のレベルは全人類最強です。そのため、本来、直接交信することなどない精霊との交信が可能なのです。いえ、それどころか、こちらから積極的に手を貸そうと思うほどのつながり具合なのです>


 マジか! さすがのトリプルS!


 ええと、じゃあ、もしかして植えた植物の種を一気に成長させるなんてこともできるんですかね?


 交信ってどうするかわからないけど、多分、頭で思い描いたことが伝わるのではないだろうか。


<おやすい御用です。大地の精霊であるわたしにすべて任せるのです。何かかもわたしにゆだねれば上手くいくでしょう>


 どことなく、調子がよすぎる気もするが、私が大地の魔法でやけに力を持っていることは事実のはずだし、信用していいだろう。

 もし邪悪な存在だったとしたら、一方的に話しかけてくることができている時点で、どうしようもない気もするし……。


 わかった。じゃあ、お願いします。


<あなたに必要な魔法陣をお教えします。まだ人間は発見していないような魔法陣なので、あまり形にとどめたりはしないでくださいね>


 地面に魔法陣が浮かび上がっているように見えた。

 でも、目に映っているものにしては感覚がおかしい。


「ねえ、エリーチャちゃん、今、地面に魔法陣があるの見える?」

「? そんなものないけど」


 やっぱり私だけが感じ取れるもののようだ。


 私の手もなかば自然にその魔法陣をなぞっていく。農場の前の土に指を這わせる。

 次にどうなぞればいいかもわかる。


 これはたしかに特殊だ。正七角形を元にさらにいろんな飾りみたいなのがついてる魔法陣だ。こんなのは現代の魔法の水準だと作られていないはず。


 そして、魔法陣を描き終わった。

 すると、あたたかい橙色の光が農場のほうに広がっていく。


「多分、成功したと思うよ……。魔法は発動したから……」

 ただ、この魔法が具体的にどういう動きを見せるのがまったくわからないが。

 今から、私にできることはいい結果が出ることを祈るだけだ。


「あれ、ああああ先生! 何か出てきたよ!」


 エリーチャちゃんの声に反応して、農場の地面を見た。


 すると、そこからにょろにょろと何か緑色のものが現れはじめる。

 ああ、あれは葉っぱだなと認識できた頃には、もう農場は葉っぱで茶色から緑色に塗り変わっていた。


「うあああ! なんだ、これ!」


 びっしりと緑色に染まっている。ただし、何種類かの種を植えていたので、葉っぱも種類はいくつかあるが。


<さて、植物を育てることまではこれで完了です。ただ、種類によっては実を食べるものもありますので、これだけではダメなものもありますが>


 大地の精霊がまた話しかけてくる。たしかに、花も五秒で咲いて、五秒で枯れて、実ができますというわけにはいかないか。そんなにすぐに枯れたら受粉できないし。


<でも、赤ポテトに関してはおそらくもう食用にできるでしょう。どうぞ、収穫なさってくださいね。にっこり>


 なんで、にっこりまで言う必要あるのかと思ったが、大地の精霊の顔は見えないから、笑っていますよということを言葉で伝えようとしたわけか。


 ありがとうございます。じゃあ、早速収穫してみますね。

 まず、精霊に頭の中でお礼を言ってから、エリーチャちゃんのほうを向く。


「あのね、もう赤ポテトは収穫できるみたいだから、やってみようか」

「うん、やってみる!」


 表情はまだ硬いが、エリーチャちゃんの気合が入っているのはわかる。


「あっ、ごめん。やっぱり、明日に回すね。もう、遅くなるから」

 今から収穫すると確実に夜になってしまう。


「えっ、今日とりたいな……」

「ダメだよ。クラブ活動は無許可で時間を延長してやっちゃいけない決まりなの。勉強時間や睡眠時間の確保も学生の本分だからね」


 ここは教育者らしく、ちゃんとルールを守ってもらうことにした。


「うん、エリーチャ、わかった……」


 まあ、心配しなくても、明日はすぐに来るよ。今日はゆっくり休んで明日に備えてね。



 そして、翌日の放課後。

 私とエリーチャちゃん、それからなぜかクレーヴェル教授まで実験農場に集まっていた。


「あの、幼女先生はなんでここに来てるんですか?」

「その呼び方はやめるのじゃ! ほら、アーくん、ずっと研究室で新しい種類のイモができたって楽しそうに話しておったではないか」


「そりゃ、毎日顔を合わせてる人に、その前日に起こったトピックを話すのは自然でしょ。話題が『人間とは何か』とかだったら変じゃないですか。なんで哲学なんだよって話ですよ」

「その話を聞いておったら、わしも興味が出てきたのじゃ。あと、わしは土いじりは好きでな」


 とりあえず、エリーチャちゃんと教授を紹介しておくか。


「この人、年下……? いや、たしかこういう子供っぽい教授がほかの科目でいたはず……」

「そうそう、エリーチャちゃんの言うとおりだよ。この幼女っぽく見える人はクレーヴェル教授といって、そこそこ年齢はいってる人なの」


「なんか、教え方にトゲがあるのう……」

 ウソは言ってないんだから、そこは許してほしい。


「教授、この子は実験農場クラブの部長をつとめているエリーチャちゃんです」

「部長といっても、そもそもこの子以外の生徒がおらぬぞ」

 余計なこと言わないでほしい。実際、そうだけども。


「じゃあ、赤ポテトを収穫したいと思います。もう、土の下にできているはずなんで、土を掘って収穫しましょう。大きなシャベルで赤ポテトを傷つけないようにね。エリーチャちゃんはある程度、手順も知ってると思うけど」


「うん、知ってる。どしどし収穫する」


 よーし、やるぞ!

日間16位になりました! ありがとうございます!

あと、某ゲームが流行りすぎているので、ネタで「エレメンタルGO この世界で私だけ精霊の居場所が見える」という小説を書いてしまいました(笑) こちらもよろしければどうぞ! http://ncode.syosetu.com/n9585dk/  

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