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6 種を植えよう

 翌日のクラブ活動の時間、私はわざわざ放課後の前にエリーチャちゃんのクラスまで行って待っていた。


「さあ、エリーチャちゃん、今日もクラブ活動頑張ろうね!」


「あっ、ああああ先生待っててくれたんだ……。でも……」

 エリーチャちゃんは少しうつむきながら、

「農場は変化ないし……収穫することもないし……今日やれる活動って何もないよ……」

「まあまあ、騙されたと思って、赤ポテトやほかの野菜の種も持って、農場に行ってみよう」


 農場に出てきたエリーチャちゃんはぽかんと口を開けた。

 それから、しばらく微動だにしなかったぐらいだった。


「すごい……土がすごくよく混ぜられてる……」

「どう? これなら、もしかしたらやれるかもしれないでしょ?」

「もしかして、ああああ先生がやってくれたの……?」

「ま、まあね」


 あまりうかつなことを言うとゴーレムがやったってばれるからな。


「わかった。植えてみる」

「うん。きっと上手くいくよ。私も手伝うね」

「じゃあ、こっちの種をまいて。これは赤ポテトとは違う種。黄金ウリというウリ」


 それも読んだことがある。というか昨日の夜にやっつけで植物学や栽培の本を図書館で漁ったのだ。


 おかげで、ぱらぱらめくるうちにどんどん記憶を強化できることがわかった。間違いなくレベルアップによるチートな性能のおかげだ。

 これなら知識の集積だけなら、どんな大賢者にも負けないと思う。むしろ、これで手も足も出ないとしたらその相手が化け物すぎる。


「黄金ウリか~。たしか、海のずっと先にある大陸原産のウリだよね。そっちだと、カボチャって呼ばれてるんだったっけ」


「すごい。ああああ先生、なんでそんなことまで知ってるの!?」


 エリーチャちゃんから賞讃の目を向けられた。


「これでも実験農場クラブの顧問ですから。勉強してきたんだよ」


 せっかくなのでドヤ顔をしてみる。


「頼もしい。エリーチャ、大船に乗れた気がする」


 その言葉が聞けるなら、いくらでも頑張るさ。まあ、チートな学び方だけど、時間をかけてたくさんの本を漁ったこと自体は事実なんで、許してもらおう。


 私達はどんどん種を農園に植えていった。夕陽が沈みかけた頃にようやく仕事が終わった。


「はい、お疲れ様。冷やしたお茶を持ってきたよ」


 私は水筒に入れてきたお茶をエリーチャちゃんに勧める。

 冷やすのための氷はレベル99になったことで覚えた氷雪の魔法を使って出した。ランク(S)なんで透明な透き通った氷ができた。


「ああああ先生、ありがとう。先生が顧問になってくれて、本当にエリーチャうれしい」

「私もエリーチャちゃんに喜んでもらえてうれしいよ」


 お茶もこれまで作った時より上手くなっている気がする。もしや、レベル99になった影響なのか?


「エリーチャ、これまでああああ先生は受け狙いで変なニックネームを貫き通してるお調子者の人なのかなって思ってた。その考え、改めたい。ああああ先生は聖人の領域」


「ふふふ、ニックネームだと思うでしょ。実は本名だったんだよ……。アーアーに改名したけどね」

「改名もったいない。ああああって名前、今だとすごくかっこよく聞こえるから。だから、これからもエリーチャはああああって呼ぶよ」


 昔の名称使い続けるぜ宣言をされてしまった。

 でも、不思議と全然嫌ではなかった。


 それどころか、私はなんと自分のああああという名前に誇らしいものすら感じて、ちょっとその名前が好きだったような気もしてきたのだ。


 もちろん、錯覚だ。私はその名前がずっと嫌だったし、だから、改名もしたんだ。その名前は親が私をいらない人間だとみなした記号も同然だったから。名前で「いらない子」とつけられたようなものだ。そんなの好きになれるわけがない。


 でも、ああああという人間を信頼してくれている生徒が今、目の前にいることで、その名前にもこれまでとは違った価値が生まれてきた。その価値自体は決してウソではないのだと思う。


 もう、いっそ、ああああに再度改名してやろうかな。ダメだ。チート性能が消えるし、何かのはずみでレベル3とかまで下がる危険がある。そしたら、アーアーに戻すことさえ、できなくなってしまう。


 これからの私は本名アーアー、通称ああああとして生きていくのだろう。


「じゃあ、今日は解散するということにしよう。明日もしっかりやろうね」

「あの、ああああ先生、はりきってるところ悪いんだけど、明日はやることない。しばらくお休み……」


 あれ、エリーチャちゃんはかなり意欲あるキャラじゃなかったっけ……。

「だって、種をまいても芽が出たり収穫できたりするのはずっと後だから」


 そうか。しばらくはやれることもないんだ……。


 いや、でも、このまま数か月もじっとしているというのはさすがに効率が悪すぎる。


 よし、話せる範囲で話そう。


「エリーチャちゃん、実は私が実験農場クラブの顧問になったのには理由があるの」

「理由?」

「これはあんまり人には言わないでほしいんだけどね、私は大地の魔法、エキスパートなの」

「えっ!? ああああ先生って名称学の准教授じゃないの!? なんでそんな魔法が使えるの?」


 エリーチャちゃん、驚くところできっちり驚いてくれるな。


「実は昔、趣味でけっこうかじってて、そのおかげで今でもなかなかやれるんだよ。だから――この植物の種、一気に成長させられるかもしれない」


 ちょっと、大きく出すぎたかもしれない。なにせ、植物の成長を加速させられる魔法があるかなんて、ちゃんと調べたわけではないのだ。ただ、なんとなく大地の魔法が(SSS)ならやれるだろうという、曖昧な根拠があるだけだ。

 でも、もっとエリーチャちゃんのやる気に応えたいと思ったら、勢いで言ってしまっていた。


「まあ、明日、また調べて、ここで――――――――あれ?」


 私の頭に何かが語りかけてくる。


<わたしを使うのです。あなたの力になりますから>


 なんだ? 頭に直接声が響く! 慣れるまで微妙にむずがゆいぞ。というか、誰だ!


<わたしは大地の精霊です>


 大地の精霊だって!?

本日、もう一度ぐらい更新予定です!

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