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短編集

夜と朝の狭間

作者: 月宮 柊

夜が来たら朝が来る。

それは当たり前のことである。

しかし、皆が平等に朝が来るとは限らない。朝が来る前に死んでしまう人がいるかもしれない。

人間が活動し始める少し前の時間、ふと目が覚めてしまった少女は柔らかな布団にくるまったままそんなことを考えていた。

何だか物悲しいこの時間帯はいつもなら少女はまだまだ寝ている時間である。

目を瞑っても眠れないのはきっといろいろなことを考えてしまうせいであろう。

布団から起き上がると少女は出窓の淡い水色のカーテンをそっと開けた。

藍色の空が広がっている、薄くなった星、青白い三日月、こんな不思議な空にはUFOが飛んでそうだと思った。


「綺麗……」


夜なのか朝なのかわからない両方が混じりあったちぐはぐな時間帯の空はどんな空よりも美しかった。

私には今日も朝が来た。

いつものように学校に行き、友達とたくさん話して、部活をして、家に帰って、お風呂に入って、テレビを見て、そして眠りにつく。


「あ、朝日」


じんわりと溶けるように、そして少女を包み込むようにゆっくりと太陽は空へと上り、光を発している。

しばらく見ていると自然と欠伸が出た。

時刻は午前四時を過ぎた頃、まだまだ少女が起きるには早い時間だった。

布団へと戻りに目を瞑る。

少女はまた眠りの世界へと誘われる。

微睡みの中少女が考えたことはーー


「明日も明後日も、ずっと明日が来ますように」


生きるのは忙しい、だから皆は普段あまりそういうことは考えないかもしれない。

けれど、たまにはこんなことを考えてみるのもいいかもしれない。

自分が今、呼吸をして心臓を動かして、確かにここにいる奇跡、それを実感してみるのも悪くない。

夜明け前はいろいろと考えさせてくれる。


頭を空っぽにして空を見るのも悪くないよ。



少女の朝はけたたましい目覚ましの音と母の声から始まる。

今日も良い一日でありますようにーーー








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