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狭間のトト  作者: 時雨煮
第三章
24/59

変わる世界

3904.08.04 16:15:00

 【新たな《奇跡行使者》の認証が行われました。】

 視界が歪む。頭を締め付けるような痛みと耳鳴りに、鉄の臭い。強烈な吐き気に膝をつく。


 そして、聞こえてくるメッセージ。


 【認証を完了しました。初期処理を開始します。】


 【《権能:末那識マナス・ヴィジュナーナ》を付与。成功。】


 【《権能:秘本操作》を付与。成功。】


 【《権能:車輪操作》を付与。成功。】


 【《後天特性:全能力強化》を付与。特殊処理発生。《先天特性:魔力特化》の影響により、魔力以外の強化倍率が魔力に対して適用されます。】


 【《後天特性:────



  ────



 【すべての初期処理を完了しました。】


 ──どれくらい経っただろうか、ずきずきと痛む頭を押さえながら、ゆっくりと目を開く。

「落ち着いたか、トトよ」

「まだ、ちょっと無理かも……」

「そうか? マスターはすぐに動けておったのじゃが」

 顔を上げて、ベリルの方を見る。マスターとは、契約した僕のことじゃないんだろうか?

 戸惑う僕の表情から察したのか、彼女は少し慌てて両手を振った。

「ああ、済まぬ。前に契約しておったマスターのことじゃ。確か、聞いた話では、与えられる《権能》に合わせて肉体も強化される、と言っておったのじゃが」

 視界の左右に、何かが浮かんでいるように感じる。目の前の少女の頭上にも。それらに意識を向けるとまた頭痛が酷くなるので、視界の外に追いやって、ベリルに話しかける。

「たぶん、僕の身体は強化されてない」

「何じゃと?」

 更に慌てっぷりを上乗せして、ベリルはわたわたと両手を僕の方に差し出してくる。

「それはアレか? わっちの力が制限されておるせいで……」

「そうじゃ、ないんだ」

 急いで首を振ると、頭痛がぶり返してくる。正直もう少し休んでいたいけれど、彼女を勘違いさせたままにするのは忍びない。

「《魔力特化》の特性のせいで、僕の能力は、魔力以外は元のままなんだと思う」

「なんと? そういうことも、あるのか?」

 視界の端にちらつくものを思考から排除していくにつれて、頭痛はなんとか収まっていく。

「ベリルの方こそ、問題は無い?」

「うむ。むしろ、先程より調子が良いくらいなんじゃが」

 僕がこんな状態なんだから、彼女にも悪影響があるかもしれない。そう思ったのだけれど、不思議そうなベリルの表情を見る限り、確かに大丈夫そうだった。

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