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プロローグ

 視界が歪む。夢でも見ているのだろうか。

 世界が霞む。脳はどうにも状況を整理しきれていない。

 必死に身体を動かそうとするが、まるで石にでもなってしまったかのように、ピクリとも動かなかった。


 嫌だ。待ってくれ。まだやりたい事がたくさんあるんだ。伝えたいことだっていっぱいある。だからーー。

 そんな願いとは裏腹に、意識はどんどん薄れていく。そしてついに、目の前は真っ黒になった。




 □■□■□■□■□■□





「はっ……!」


 目を覚ますと、そこは何もない空間だった。

 上下も無ければ、左右も無い。音も、光も。かろうじて見えるのは、自分の姿だけだ。


「お、気が付いたみたいだね。」


 すると、暗闇の奥から、誰かが出てきた。全身真っ白なコーディネートがとても印象的だ。


「一体どうしたんだい?そんな怖い顔して。氷川継太君。」


 俺ーー氷川継太ひかわけいたは、そう聞かれてもまだ、警戒の姿勢を解かなかった。


「……おかしい。ここどこだ。てかお前誰だよ」

「はっはっは。うん。そうだね。焦るよねー。わかるわかる。まぁ、座ってよ。お茶も何もないけどさ」


 俺は訳が分からなかった。

 何故俺はこんなところにいるのか。というか、そもそもここはどこなのか。


 こいつは誰なのか。

 能天気を装って、油断を誘っているのか。

 どちらにしろ、信用することはできなかった。

 だが、そんな俺の気持ちなど露知らず、白服の彼は話を進めていく。


「さて、継太君。突然だが、君には異世界へ旅立ってもらう」

「はぁ!?なんで俺が!?」

「なんでって?くじ引きで当たっちゃったからだよ。

 大丈夫。いずれ来て良かったって思えるから」


 彼はにっと笑った。やはりこいつは訳が分からない。


「ちゃんと元に戻れるんだろうな」

「なーに、君なら平気さ。

 やってもらうことだって難しい事じゃない。ちょいとその世界を救ってくれれば、それでいいよ」


 世界を救え、とは簡単に言ったものだ。そんな容易なことではない。


「大丈夫。君には一つハンデをあげよう。だから、安心して行っておいで」


 笑顔で俺の肩を押す。すると、真っ黒だった空間が、粉々に砕け散った。

 足場が崩れ、崩落が始まる。

 割れ目からは真っ白な世界が見え隠れしていた。

 バランスを取れなくなった身体に、奇妙な浮遊感が訪れた。


「ちょ、待っーー」


 すぐに手を伸ばすが、掴んだのは空のみ。小さくなっていく彼を見ながら、俺は為す術もなく落ちていった。


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