三人。
「ねぇ~♪」
集まりの場所に向かう道中、
最初に口を開いたのは高橋だった。
「その花束、拓ちゃんに貰ったんだよね~?
なんて言われたの~?」
彼女は興味津々に瞳を光らせている。
「…なにも言われていないわ。」
百合は質問に少し微笑み返す。
「てゆーより、
私達が邪魔しちゃったんだよね?」
宮下は顔色を少し伺う素振りを見せた。
「拓ちゃん、可愛いよね~♪
結構人気あるんだよ?
鈴も拓ちゃん好きだし~」
「あんたは誰でも好きじゃんっ」
「不特定多数だよねっ」
と、谷野と宮下が笑う。
「誰でもじゃないよ~?
鈴はイケメンじゃないと好きくない!」
膨れ顔になる高橋に宮下は飽きれ顔で
「ああ。そう。」と軽く流した。
「白井瀬ちゃんは誰か好きな人いるの~?」
「……え…私は…」
この質問には宮下も谷野も興味がある!
と言う顔をした。
「…期待させて悪いけど、いないわ。」
「ほんとに?じゃあ、
今までに誰かを好きになった事は?」
と宮下が割り込んだ。
「そうね。一回もないわ。」
「気になる人もいないの?」
と谷野も質問する。
「ええ。」
「ふーん…」
宮下は歯切れが悪そうに呟いた。
「も~つまんな~いっ
あっ!ちなみに円はねぇ~…」
「ちょっ!やめてよ!」
宮下は取り乱し、高橋の口を塞ぐ。
「円は、こー見えて
案外チキンなんだよねー♪?」
「煩いわよっ!光!」
耳まで赤くした宮下を
谷野が「ごめんごめん」っとなだめた。
百合はあえてなにも触れずに
三人の後に着いて歩く。
「…場所はどこなの?」
「もーすぐ着くよ!っほら!」
話している間に
いつの間にか到着していた場所は
カラオケボックスだった。
「……カラオケ…」
「大丈夫大丈夫。
無理に歌え!までは言わないから」
嫌そうな百合を察した宮下が答えた。
「この店はね、"辻浦"の家が経営してて
アルコールも飲み放題だからね!」
そう話す谷野の顔は輝いている。
「……でも私達まだ未成年…」
「なにつまんない事言ってんの?
そんなの気にしてる奴なんて
いないってば。」
「………でも…」
「いいやら~早く入ろ~よ~♪」
高橋の言葉に押され
強制的に店内に入った。