告白。
「あっ…!お邪魔だった…よね?」
長瀬がなにかを言いかけた時、
下駄箱の脇からひょっこり現れたのは
"宮下 円"だった。
「やーっ…ごっめ~ん!
超空気の読めない奴じゃん!」
「え~なになに~?告白~?
あー拓ちゃんだ~♪可愛い~♪」
「こらっ鈴っ!」
"谷野 光"が"高橋 鈴"の頭を軽く殴る。
痛いよ~っと高橋は頭を隠した。
「そっそんなんじゃないっすよ!」
「え~?白井瀬ちゃん らぶ~??」
高橋は少しちゃかし気味に笑ったが、
谷野の右手に上げられた拳を見て
すぐに小さくなる。
「そんなんじゃない!
ただ俺は…
先輩にお世話になっただけで…」
「あら…そうなの?」
長瀬の言葉に
宮下がつまらなさそうに返した。
手に持っていた花束に力が入った。
"痛い"と思ってしまったのは
すでに首を切り落とされてしまった
白い薔薇の花束か、
張り裂けそうになった隙間が開いた心。
どちらだったのだろう…………
長瀬の視線を感じたが、
百合は視線を合わさず反らした。
「もう話しはいいの?」
百合の手に握られている
小さな花束を見ながら宮下が問う。
その問いに答えたのは百合だった。
「ええ。……あなた達は
私を捕まえに来たんでしょ?」
「人聞き悪いわねぇ~
まぁ。そんな感じだけどっ」
宮下はペロッと舌を出す。
「じゃあ!行きましょっか!
拓ちゃんバイバ~イ♪」
高橋は、百合の腕を組みながら
早く早く!と引っ張った。
「長瀬君……ありがとうね。」
「あ……いえ…」
「元気で。」
百合は、三人に連れられこの場を後にした。
微笑んではいたものの…
彼女の表情は……
「俺…なにやってんだよ……くそっ…」
長瀬の言葉は
彼女に届く事は無かった。