表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れかけの絆  作者: リン
20/20

能力#0 【時空転移】

 ゲームは終了した。成瀬は、言っていた通り、得た能力を全て失うことを望んだ。その姿が消えると、教室に残る姿は真野だけとなった。成瀬の時と同じように、声のような音が、賞で何を望むのか、真野に問う。

「俺は、真相を知りたい」

「いいだろう。何を知りたい?」

「19人目の参加者について聞かせて欲しい。一度も姿を見ていないが、本当にゲームのルールの範疇にいたのか?」

「姿を一度も確認できなかったのは、その能力の為だ。彼の者の能力は、時空転移。その存在を、座標軸、時間軸、ともに望む位置に行き来させることができる。つまり、望んでいる場面に存在できる」

「ということは、俺達にとっての同時刻に、別の場所に存在していた可能性もあるのか。だが、姿が見えなかったのは……副作用か!」

「その通り。時空転移の副作用は、この世界と互いに一切の干渉ができないこと。誰かと会話することも、姿を認識してもらうことも、触れ合うことも、何もできない。ただ存在し、出来事を知覚するのみ」

「だが、当然と言えば当然とは言え、ゲーム終了まで脱落しなかった。副作用を取り除いたのか?」

「彼の者がその能力を得た時点で、既に干渉は不可能だ。故に、賞を与えることもできない。今どこで何をしているのか、それさえも、最早わからない。彼の者が望む場面を行き来し続けているのだろうとしか言えない」

 真野が辺りを見回した。

「そうか……。19人目は、最初から敵でも味方でもなかったのか。もしかしたら、今この瞬間もここに存在して、俺達の会話を聞いているのかも知れないな」

 真野は、満足そうに頷いた。闇の気配が消えるとともに、真野の姿も消え去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ