『エア ボム』は危険な爆弾(笑)
あの時、俺は何にも考えて無かった。
けど、マヤがポケットに手を入れた瞬間、走り出していた。
なんでかは解らない。
けど、
止めなくちゃいけない気がしたんだ。
何かを。
……………………………………
…揺れている…。
…誰だろう…。
………男…?
…なんで?
なんで俺は背負われているんだ??
俺は確か………
………ああ、マヤに刺されたんだっけ。
…思い出してきた。
刺されて、痛くて、熱くて、気が遠くなって、
………………なんだ。俺、死ぬのか。
………割とあっけない最期だな。
…まあ、しょうがないか。
あのままだと確実に静が刺されていただろうし………。
しかし、あれだな………………死ぬ時ってこんなに眠いもんか…
………次、目覚める…ときは……天国………だと…いいな………………
……………………………………
…………………………………………………………
…………………………………………………………………………
むにゅ。
………………『むにゅ』??
パチリ。
「気づいた!!伊吹君が目を覚ました!!」
聞き覚えのある声。
そして―――、
前にも似たようなことがあった感覚。
『デジャヴ』………ではない。
ごく最近あった気が………………
「やあ、気が付いたかね?」
声のした方を向くと、眼鏡をかけた白衣の青年が立っていた。
…ああ。成る程。やっと理解した。ここが天国なのか。
お花畑があったりとか、釈迦如来とかが説法でもしてんのかと思ったら全然違ったな。
というか、三途の川は無いのか。意外だな。
「そうか…ここが天国か…。随分イメージと違うなぁ…」
「?君は一体何を言っているんだ…?」
「ああ、気にしないで下さい。下界の者の単なる妄想ですから」
そういえば、前、政が言っていたけど、キリスト教じゃ、死後は望んだ世界に行くとか言っていたような、なかったような…。だとしたら、俺の望む世界って、入院生活からはじまるのか?
「ま、いいか。どうせ死んでるんだから第二の人生と思っ…」
………………そういえば、さっきから腕のところにマシュマロみたいなやわらかいものが…。
恐る恐る反対側を向くと、
「…えへ。心配になって入ってきちゃった☆」
自分の腕にしがみ付くようにして布団の中に一糸纏わぬ姿の静が…………
~病室前~
「…上手くいったのかな…?」
「分からん。…が、自称、『伊吹の妻』って言うくらいだ。なんとか伊吹を昏睡状態から呼び戻してはくれるだろう…。…しかし悪かったな。昌子さん。勝手に診療所に押しかけてしまって…。」
「いいのよ全然。私は伊吹君と二人きりに(ボソッ)」
「え?なんか言ったか?」
「う、ううん!!何にも言ってないよ!!…で、神宮さんはいついらしたの?」
目を真っ赤に充血させて仁王立ちしている神宮に昌子が問いかける。
「ついさっき。なんでも伊吹君が運ばれたとかで…」
「そう…私もよ」
「そっか………ダメだな私ったら…クラスメイトのことになると、どうもいてもたってもいられなくなる…」
少しうつむき加減で申し訳なさそうに神宮が言う。
最初はそんな話だった。
―――が、
「…だからと言って私に式神を付ける必要は無いはずよ」
昌子の言葉で一気に空気が重くなった。いや、質が変わったと言うべきか。
「………それは、す ま な か っ た な 。なんでもお主が、よ か ら ぬ こ と を企んでいるように見えたのでな」
神宮の口調が劇的に変わる。
「だからと言って(私の)伊吹君の所にまで来る必要があったの?一応、まだ印刷は終わっていないんでしょ?」
「大丈夫だ。現場の者で事足りた。しかしお主も人のことは言えまい?配達組であろう?」
「大丈夫よ。恭志郎君が私の分も変わってくれたから」
「ほぅ…成る程な…」
「はい」
「…ふふふ…」
「…ウフフフ…」
両者がものすごぉい怖い笑い方をしています。ナレーターの私、めっちゃ怖いっす
”なぜこうなったか説明しよう!!(by作者)以前、神宮が『伊吹の保健室事件』の時に、伊吹に「好きだ」という単語を口にしてからである。それ以降、伊吹のことでいがみ合う二人がしばし目撃されているらしい”
へぇ~…。なんで二人は静を標的にしないんだ?
”伊吹が静を恋人対象にすることを嫌がってるの知ってるからじゃね?”
…そんな単純な話じゃないと思うが………
「………。…そんなことより、マヤさん」
危機(作者とナレーターの会話)を悟った政が隣に座っているマヤに話しかける。
「…………………」
「マヤさん。マヤさん!!」
「…!?なっ、なに?」
マヤが慌てて取り繕うように反応する。
「大丈夫だから。あいつはそう簡単に死にはしないさ。心配するだけ損だ」
「…そうかもしれないけど…でも私、伊吹君を刺しちゃった…刺しちゃったのよ…私が…私が…」
体を小刻みに震わせながら泣くのを必死で堪えていた。無理もない。人を刺してしまったのだ。
よりにもよって無関係な人を。
大抵の人間がこれで普通にしていられる方がおかしい。
が、
「まっ、あいつは一回くらいマジで死にかけてみるべきだよな。鼻血以外で」
かっかっかっ、と笑いながらマヤを励まそうとする政。
一応これが彼なりの励まし方らしい。
「…だって…だって伊吹君が…」
「『私を嫌いになってしまう』…ってところですかね…」
昌子がマヤに向かって微笑みながら言う。まるでマヤの考えを読み取ったかのように。
「!!な…、なんで…!?」
「『女の勘』ってやつです♪」
今度は神宮が言った。もちろん微笑みながら。
マヤはつくづく『女の勘』に予想されやすいようだ。
「彼は刺されたくらいで貴女を嫌いになるような人じゃないわ。…いいのよ。彼を好きになって…。恋愛にイベントは付きもの。ライバルだって、多い方が燃えるじゃない」
昌子が楽しそうに語る。
「そうですよ。競う相手のいない徒競走なんか面白くありませんからね」
神宮も賛同するようにマヤを見る。
「…あら?神宮さん。あなたには聞いてませんよ?」
にこやかに昌子が笑う。
「はて、私はお主に話しかけられた覚えはないのだがのぉ」
神宮もこの上ないくらい笑顔で返答する。
「そうですか…」
「そうだとも…」
「うふふ…」(ゴゴゴゴゴゴゴ…)
「ははは…」(ごごごごごごご…)
「…なんか今一瞬、二人の後ろに竜と虎が見えた気がしたが、気のせいだよな気のせ…」
政が二人の雰囲気に圧倒されかけていた時だった
『うわああああああああああああああああああああああああああああああっ!!』
伊吹の病室から悲鳴。
「!?」「!!」「っ!!」「!??」
病室前の四人が争うようにして一斉に伊吹の病室に転がり込む。
「なにがあっ…!!」「伊吹く…」「どうしま…」「大丈夫で…」
そして四人は同時に病室に入るとともに、
同時に固まった。
何故ならそこには、鼻血を大量に流しながら気絶している伊吹に馬乗りになって伊吹を揺する全裸の静がいたからだ。
・・・・・・
「ぶっ!!」
真っ先に政が退場。
「はわわわわわわわ…い、伊吹さん!?」
次に神宮がショート。
「・ ・ ・ ・」
思考を停止し、固まるマヤ。
「しっ、静さん!!ズルいです!!私も交ぜて下さい!!」
明らかに一名だけ思考回路がおかしい昌子。
「伊吹君!!しっかりして!!伊吹君!!」
まず服を着ろよとツッコミを入れたくなる静。
「かっ、カオスだ…」
言ってないで止めろよ。眼鏡の医者。
「………………ふ…ふ…不埒じゃーーーーっ!!」
神宮さんが暴走しました。
そして―――、
無駄に馬鹿でかい『爆』と書かれた紙を―――
「”全てを無に帰せ!奮尽爆破!!”」
つって叩きつ…
どごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!
…………………………病室が一つ吹き飛びました。
読んでいただき誠にありがとございます。
タイトルは完全なる思いつきです。はい。
特に話にも関係ありませんww
最後に…、
もしかしたら次の話とか長くなります。…多分…
こんなノリと勢いで書く作者を以後もよろしくお願いします。
…え?シリアスな展開??
………すまんが俺のログには何も残っていないぜw