チカラと私
家の前に車が止まる。
電話の先から聞こえる声にずっと従って、私は歩く。
『そのままその車に乗ってくれ。不安なら電話はかけているままで構わない』
「はい、分かりました」
私は車に乗り込む。
きらら「あの……チカラってどういうことですか?私は今からどこへ?」
『説明がまだだったか。お前の住んでいる地域からこっちまでは結構遠いみたいだから、その間に話すか』
彼は小さくため息をついた。
『……自己紹介が遅れたな。俺はSkyTryの社長、不死川スカイだ。大空と書いてスカイと読む。高2』
高2!?私より1つ上ってことだよね!?それくらいしか変わらないのに大企業の社長!?すごすぎる!!
『そういや、お前の名前を聞いてなかったな』
「あ、私は七森きららです。輝くに星できららです。高1です」
『そうか。じゃあさっき聞いてくれたチカラについて説明するな』
彼は車に揺られつつ、彼の話に耳を傾けた。
『チカラ……それはお前が目に持っているものだな』
「……私の、目?」
『ああ、そうだ。チカラは大まかに分けると2種類存在する。「生まれつき」と「ある日を境に突然」だ。きららはどっちだ?』
最初から呼び捨てかい。
何なんだこの人、馴れ馴れしいな。
心の中でそう毒づきながら返答する。
「私は生まれつきです。不死川さんは……」
『スカイで構わない。俺は生まれつきだな。そして俺らの中では生まれつき存在するチカラを「本力」、ある日を境に突然現れたチカラを「他力」と呼んでいる』
じゃあ私のチカラは「本力」なんだ……
『先ほど、「大まかに分けると2種類」と話したが、細かく分けると5種類存在する。最もこれは大まかに分けた時と分け方が違うんだがな……』
不死川さん……いや、スカイさんは少しだけ考えるような間を開けた。
『さっきのはチカラのつき方というか……まあそんな感じの分け方だったが、細かく分けるものはそのチカラの内容で分ける』
「私は目ってことですか?」
『ああ、そうだ。きららが持つものは俺らの中で「目の超能力」と呼ばれているものだな』
「残りの4種類はまた別なんですか?」
『そうだ。俺が持っているのは耳の超能力。簡単に言うと地獄耳だ』
地獄耳。もしかして私の声もうるさく聞こえているのだろうか。だとしたら申し訳ないな。
『他には足がすごく速い足の超能力と、記憶力がすごくいい脳の超能力、それと……未解明の手の超能力』
未解明?
私の疑問を感じ取ったのか、スカイさんは言葉を続ける。
『……他力は本力の一部の能力しか使えなかったり、能力のランクや精度が下がっていたりと、本力より劣った性能を持つことになる。だが手の超能力だけは本力が見つかっていない。まあ目の超能力も見つかっていなかったわけだが、お前が来ることによって手の超能力だけになるわけだ』
「……あの、本力ってそれぞれの能力に対して1人だけなんですか?」
『ああ。そして他力は本力1人に対して1人だけ。これの意味が分かるか?』
「能力を持つのは、他力含めてこの世界に10人だけ……?」
『なかなか頭がいいな』
「……ちょっと失礼だな」
『ん?』
「ナンデモナイデース」
危な、心の声が……
『まあいい。その通りで、この世界にチカラを持つのは10人。だから集めたんだ。……このチカラが、この世界を救うと思って』
私のこの、このチカラが……誰かの役に立つ……世界を救う……?
想像だにしなかったその言葉に、しばらく私は固まってしまった。
「……」
『……そろそろこっちに着くみたいだな。こっちに着いた時に続きは話す。建物内に入るまでの怪物に気をつける。会議室14で待っている』
察してくれたのか、スカイさんが電話を切る。
スカイさんがさっき言ってたこと。
それは私がずっと夢見てたこと。
私がずっと願っていたこと。
もしそうだったら……誰かが幸せになれるだろうか。
誰かの役に立てるのだろうか。
何の意味もないと思っていた私の命が、私のチカラが……
何かの役に立てたなら。
私はそんな幸せな夢を広げた。




