表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水鏡  作者:
PR
1/1

もしかしたら、人間は誰も居ない所で似たような顔の人と入れ替わっているかも知れない。そんなホラーを書いてみたかったからです。

大池では、制作者不明だが昔から噂?都市伝説めいた物が有る。「大池には、1人で来るな。元気の無い奴は、池底の世界に取り込まれるゾ。2人以上だったら、帰れる可能性が未だ有る」と。

 いきなり友だちが似たような顔の別人と交代して現実世界に戻って来られなくなるかも知れない。自分の記憶以外のみんなには、前から一緒に居る友だちとして認識されている。友だちに戻って貰う為に友だちと似て非なる別人と闘う話。

 最近は、何も特徴の無い池に来る人自体が減り、都市伝説を知らない人も出て来たらしい。そんな大池に来た瑞樹と優の2人は、元気の無い優の相談にのっていると目を離した隙に優は、消えてしまった。

 その頃、優は、いきなり他者から干渉が無いよう周りが白くなった世界に連れて来られていた。目の前には、黒子や痣などまで鏡に自分の顔が映っているかのように左右反転している人間が現れた。目の前からは、小さくしか見えないがその人間には背中に黒い羽が生えているのもチラチラと見える。

 「俺、影丸って言うんだけど...そんなに悩んでいるなら、俺と変わってよ。地上界に行ってみたいんだ。君は、俺が居た世界'池の底'で何不自由無く、みんな笑顔で優しいし、みんな言う事を聞いてくれるから、過ごし易いよ。なぁ、頼むぜ。」

「わ、分かったよ。でも、なんか怖い...」

「じゃあ、この大池の水面にこちらの世界の風景を映してあげるよ。自分で確認してみて、はい。」

「うわぁー、こんな大きな家に住んでいるの?召使いも沢山居るし、街のみんなも笑顔で楽しんでいるね。手招きしてるけど、何?」

「『君が来るのを待っているよ』って事だよ」

「えっ?みんな、待ってくれているの?なんか悪いな。じゃあ、少し覗くだけね」

「うん、それでも大丈夫(俺は、満足するまで戻る気無いけどな)だよ。この白い世界は、水面の上に立てるんだ。屈んだら、ゆっくり降りて行くから、動かないでね。」

「分かった、行って来る。また戻って来てね」

優は、水面上に立ち、屈んだ。ゆっくり優の体が水面に消えて行った。

 その頃、地上界では...

背後から走りながら、水鏡に写ったように優の顔の黒子や痣などが反転し、背中に黒い羽を持った影丸が優になりすまし「ごめん、ごめん。瑞樹、お待たせ。途中でトイレ行きたくなったから、トイレ行っていた」と嘘つきながら現れた。優は、こんなにハキハキ話さないし、黒子も痣も位置が逆なのだ。動揺を隠しつつ、聞いてみた。

「良いけどさー。てか優、この黒い羽どうしたの?こっらちにも痣有ったっけ?黒子の位置も...

「あ、あのさートイレの前でコスプレ道具売っていてカッコイイから買ったんだ。安っぽい作りだから、毎回付け替えなきゃならないんだけどね。先に帰るわ。じゃ」と影丸は、不審な言動をして帰って行った。

 公園での一件を話そうと家族や小学校の友だちに手当り次第に連絡した。母は、「優くん家族は、保育園からのお付き合いだけど、そんな話は、初めて聞いたわ。何、それ...?」という話をした事を翌日には、すっかり忘れていた。小学校の友だちも日を跨いでグリーで連絡してみたら、友だちの記憶もグリーの履歴からもそんな連絡は、消えていた。優との公園での一件をみんなに話すも信じて貰えず、'瑞樹、大丈夫?'と心配される始末だ。公園での一件から何故かみんながおかしいはずなのに、何故か俺が心配されている。

 翌日昼間、優が「図書館行こうゼ」と誘いに来た。図書館までの近道には、人気の無い歩行者用の小さなトンネルが有る。(あそこで優に聴いてみよう)と1人思いながら、2人で向かった。

 トンネルの中に一歩入ってから、優に聞いてみた。

「あのさー、優?優ってホントの優?公園でいきなり消えてから、なんかおかしいゾ。」

「そ、そうかな?俺は、俺だよ。」

「そうだよ。しかも、黒子や痣の位置が逆になっているのもおかしい。前は、黒子も痣も『結構良い位置に有るだろ?カッコイイ感じがして気に入っているんだ』って言っていたじゃないか。」

「俺、そんな事言ったかな?誰かにも聞いてみた?」

「『最近、優がおかしくない?』って聞いてみたよ?でも、みんな「そう?いつもの優じゃない?」とか言って聞いてくれないし、翌日には、そんな話をした事を忘れていたり、グリーで話した履歴さえ消えていたんだ。どうなっているんだよ、この世界は?」

そこから優がゆっくりと歩きながら、笑顔で近づいて来た。

「へぇーそこまで知っているんだ?何処から話そうかなぁ?ヤバ、楽しー」

「なんか雰囲気違うじゃん...え?怖っ」

トンネルの中ほどまで来たから、俺の声は、なかなか届かない。小さいトンネルで日が当たらないから、中心に雨水が溜まり、水溜まりが出来ていた。その水溜まりの中をビチャビチャ足音を立てながら、優は、歩いて近づいて来る。

「じゃあ、話してあげるよ。俺は、優じゃない。本名は、影丸って言うんだ。家は、池の底に有って、本物の優の承諾も得て、交代した。俺さーここに、地上界に来てみたかったんだよ。今頃、優は、自分のペースでゆっくり過ごしているさ。安心してくれ。」

「やっぱりそうか。偽者め。じゃあ、何時交代するんだ?」

「分からなーい。俺が満足するまでかな?ははは...

大丈夫、大丈夫!優の家族みんな信じきっているし、いざとなれば、記録も記憶も消せば良いからね。」

影丸は、怖い事言いながら、ずっと笑顔を崩さない。

「でも、俺だけは、本物の優を忘れないし。俺は、お前を認めない。記録が消されても何回でも書いてやる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ