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再会の春

文芸部が舞台の某アニメを見て初めて物書きに挑戦しました。みんなどこかで見た事あるはずのコテコテのテンプレですが、どうぞ楽しんでください。



高校2年生に進級したばかりの春、俺、斎藤亮太は新しい学校へと転校してきた。両親の仕事の都合で引っ越しが決まり、慣れ親しんだ街を離れることになったのだ。新しい環境、新しい友人、そして新しい教室。転校生としては珍しくもないが、初めての教室に足を踏み入れると、静かな視線が一斉に俺に注がれるのを感じた。軽く頭を下げ、担任の先生に名前を呼ばれた。


「この春から斎藤亮太君が転校してきました。みんな、仲良くしてあげてくださいね」


席は教室の真ん中あたり。教科書を机に広げて周りを見渡すと、みんなそれぞれの仲良しグループがすでにできているようで、少し肩身が狭い。転校生の特権は好奇の目を引くことだが、それも一瞬のことだ。次第にみんな自分の世界へと戻り、俺も授業に集中しようとした。


「斎藤君、だよね?」


突然、明るい声が後ろから聞こえてきた。振り返ると、そこに立っていたのはクラスの中でもひときわ目立つ美少女だった。栗色の長い髪が春の柔らかな光に照らされ、まるで映画のワンシーンのように彼女の姿が映える。彼女の名前は小野寺美咲。この学校に来てまだ数日だが、すでに彼女がクラスの中心的存在だと気づくには十分だった。


「うん、そうだよ。斎藤亮太です。よろしく」


少し緊張しながら自己紹介をすると、彼女は笑顔で椅子を俺の隣に引き寄せ、自然な感じで座った。


「もしかして、私のこと覚えてない?」


彼女のその言葉に、俺は少し戸惑った。


「え、初対面だと思ってたけど…」


「ふふ、まあそうだよね。私たち、小学校の時に一緒に遊んでたんだよ。覚えてないかな?」


驚いて彼女の顔をじっと見る。何度も思い返すが、小学校時代に美咲という名前の女の子と遊んでいた記憶が、どうにも出てこない。焦っていると、彼女は軽く手を振って笑った。


「無理もないよ。私、引っ越しちゃったからね。でも、私はずっと亮太君のこと覚えてたんだよ」


その言葉に、俺の心が揺れた。小さい頃の記憶を一生懸命辿ってみる。思い出したのは、いつも一緒に遊んでいた小柄で元気な女の子。確かに、よく一緒に走り回っていた気がする。だが、その子と今目の前にいる美咲が同一人物だとは、なかなか結びつかなかった。


「本当に…君だったんだね」


「うん、私だよ。小学校の頃の亮太君、元気いっぱいで可愛かったなぁ。転校するって聞いた時、すごく寂しかったんだよ」


懐かしい感覚が胸に込み上げてくる。あの頃は何もかもが単純で、ただ友達と遊ぶだけが楽しかった。転校が決まった時も、どこか他人事のように感じていた。しかし、彼女にとっては違ったのだ。大切な何かを失ったという感覚を抱いていたのかもしれない。


「それにしても、久しぶりだね。こんな形で再会するなんて思ってもみなかったよ」


「私もだよ。でも、亮太君がこの学校に来てくれたの、運命だと思わない?」


彼女の笑顔に心がほぐれていく。幼馴染との再会、まさかの再会が今こうして現実となったのだ。美咲は、その後も積極的に俺に話しかけてくれる。授業が終われば一緒に帰ったり、昼休みも俺の席に来てお弁当を一緒に食べたり。周りのクラスメイトたちは驚いた顔をしていたが、次第にそれが当たり前の風景になっていった。


春の暖かさが次第に深まり、彼女との距離も自然と縮まっていく。そんなある日の放課後、俺たちは一緒に帰り道を歩いていた。夕焼けに染まる空が、俺たちの影を長く伸ばしている。


「ねぇ、亮太君。今日はちょっと寄り道していかない?」


「どこに行くんだ?」


「秘密の場所だよ。子供の頃、よく行ってた公園なんだけど、覚えてるかな?」


その言葉に、俺の胸が再び高鳴った。幼い頃、彼女とよく遊んでいたあの場所。今まで忘れていたのが嘘のように、鮮明な記憶が蘇ってきた。


「もちろん覚えてるよ」


「よかった。じゃあ、久しぶりに行ってみようよ」


美咲はそう言うと、俺の手を引いて走り出した。彼女の手の温もりが心地よく、俺も無意識に彼女の後を追った。懐かしい公園にたどり着くと、そこには昔と変わらないブランコや滑り台があった。


「ここでよく遊んでたよね。懐かしいなぁ」


「本当に。あの頃は何も考えず、ただ楽しくて…」


美咲がふと立ち止まり、俺を見つめる。夕陽に照らされたその横顔が、どこか切なげで、今までとは違う表情をしていた。


「亮太君、私ね、ずっと言いたかったことがあるんだ」


「何?」


彼女は一瞬ためらうように目を伏せ、次の言葉を紡いだ。


「私、亮太君のことがずっと好きだったんだ。小学校の時から、ずっと」


その言葉に、胸が大きく揺れた。美咲の目は真剣そのもので、冗談ではないことが伝わってくる。俺はどう答えればいいのか分からなかったが、彼女の気持ちは確かに伝わった。


「俺も…美咲のこと、好きだよ」


その瞬間、彼女の顔がぱっと明るくなり、俺たちは同じ気持ちで再び笑顔を交わした。夕陽が沈む中、二人の影は一つに重なり、俺たちは過去と今を繋ぐ大切な再会を果たしたのだった。

頭の中の妄想を吐き出すの楽しいんだ…!

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