エリアナの洗髪
エリアナは、豪華な浴室に案内され、旅の疲れと汚れを感じながら立っていた。数ヶ月間、まともに洗髪も入浴もしていないため、彼女の髪は皮脂と汗で固まり、凄まじい匂いを放っていた。侍女たちは彼女の衣装を手際よく外し、その髪の状態に驚きを隠せなかった。
「これは一体…」と一人の侍女が呟き、洗髪担当の侍女は鼻栓を装着した。「普通のシャンプーでは無理ね」と言いながら、特別な練り石鹸を取り出した。
「エリアナ様、これから練り石鹸で髪を洗わせていただきます。少し手荒になりますが、ご了承ください」と侍女は優しく説明した。エリアナは黙って頷き、準備が整うのを待った。
侍女は練り石鹸を手に取り、エリアナの髪に塗り込んだ。固まりついた皮脂と汚れを少しずつほぐしながら、丁寧に泡立てていく。匂いを抑えるために特別に調合された香料も加えられたが、それでも強烈な匂いは完全には消えなかった。
「これは相当な手間がかかりますね…」と侍女は言いながら、何度もお湯をかけて泡を洗い流した。「もう一度洗いましょう」と言い、さらに練り石鹸を使って洗髪を続けた。
「本当に臭いわね」と、別の侍女が話しかけながら髪をほぐす手を休めた。「何度洗っても、なかなか匂いが取れないわ。」
「でも、エリアナ様がこれほどまでに苦労されていたなんて、私たちには計り知れないわね」と侍女頭が静かに言った。
時間が経つにつれ、エリアナの髪は次第に柔らかくなり、自然な輝きを取り戻していった。匂いも徐々に和らぎ、やっとのことで清潔さを感じることができた。
「これでようやくまともな状態になったわね」と洗髪担当の侍女が最後にお湯をかけながら言った。「エリアナ様もきっと安心するでしょう。」
髪が綺麗になった後、侍女たちはエリアナの体を清める作業に移った。特に脇の下や股の部分は念入りに洗い、何度も泡立てては洗い流した。「まだ臭います!」という声が上がるたびに、さらに念入りに洗い続けた。
最後に、侍女たちは特別なハーブと塩で作られた歯磨き粉を用意し、エリアナの歯を丁寧に磨いた。口の中は爽やかな香りで満たされ、清潔感が蘇った。
「これで、王にふさわしい状態でお会いできるでしょう」と侍女頭が微笑み、清潔な衣服を手渡した。
エリアナは感謝の意を込めて頷き、清潔な衣服に身を包んで再び謁見の間に向かった。彼女の変貌に驚いた侍女たちは、尊敬の眼差しで彼女を見送った。
「エリアナ様がこんなに美しくなるなんて、思ってもみなかったわね」と一人の侍女が小声で話した。
「本当に。最初はあの匂いに驚いたけど、こうして見違えるように変わる姿を見ると、やりがいを感じるわ」と別の侍女が同意した。
「エリアナ様が無事に王に会えるように、私たちも精一杯のお手伝いができて良かったわ」と侍女頭が締めくくった。
エリアナは深呼吸し、新たな自信と共に謁見の間に足を踏み入れた。王は彼女の姿を見て満足そうに頷いた。「エリアナ、君の話を聞こう。」エリアナは穏やかな笑みを浮かべ、新たな決意を胸に話し始めた。