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40話 親友との過去③


 噴火で少しトラブルが起きたが、引き続き馬車で湖に進む。

 街道は影響で火山岩が散乱して邪魔をしているが、フローラはアイテムボックスを使って回収をする。

 率先してやるのはいいことだが、自分の利益のためである。なぜなら――。


「さぁ、ご飯の時間よ。早く大きくなって結晶をちょうだいね」


 ジュエリータートルのエサであるからだ……。そのジュエリータートルはボリボリと喜んで食べている……。

 結局、フローラのワガママを聞いてしまった。


 まあ、俺も放っておくのもあれだったから、一応保護という形にしている。

 あくまで保護だ。飼うのは無理がある。今は持ち上げることができるが、巨大になるのは確実だ。

 しかも、王都では他の奴らに目を付けられて飼うのは無理だ。


 火山岩と水が条件がなければ飼育なんてできない。

 しかし……ここ周辺はアウトス火山しか活火山がない。

 この亀を安心して放てるような環境がない。


 とりあえずここまでしたら大きくなる前に探そうとは思う。


 この子が十分に賄えるほどの火山岩は降ってきたから問題はない。

 水だって魔法がある。


 とりあえず幸之助の依頼が終わってからだ。


「ハハハ、犬みたいでかわいいじゃないか! 今日からお前はポチだ!」


 瞬、勝手に名前を付けないでくれ、愛着が湧いて手放すことができなくなるぞ。


「ちょ、勝手につけないでよ! この子はジョセフィーヌよ! この子は高貴な名前がお似合いよ!」


 お前もか……。俺はどちらも却下したい。


「ジョセフィーヌって、メスに付ける名前であろう。この亀はオスでござる。性別にあった名前を付けるであろう」


「性別にあった名前ね……。まあ、いいわ。だったらあなたとアタシの名前どっちにいいかここにいる人に決めてもらおうじゃない。当然アタシの名前が一番に決まっているけどね」


「多数決で決まるなら問題ないでござる」


 2人とも自信があるな。結果は――幸之助、柚葉はポチを指示して俺と御者は決められないと言って名前はポチで決まった。


 瞬は高笑いして、フローラは膝をついて落ち込んだ。


「ハハハハハ! 拙者の決まりだ。フローラ、ちゃんと認めるでござるよ」


「ふ、ふんだ……み、認めてあげるわよ……。な、名前くらいで、いい気になるんじゃないわよ……」


 涙目になりながら強がっていた。よほど自信があったのか。

 というかオスだったのか。


 夜になり、俺たちは野営をしていた。焚火にあたり、ゆっくりしてテントの中ではフローラはポチと一緒に寝ていた。

 すっかり懐かれたな……。


「まったく……世話がかかるな……」


「そうは言うが、レオも承諾したであろう。ポチを放っておけない優しい人でござる」


「褒めても何もでないぞ」


「そうおっしゃらず、瞬の言うことは本当です。レオさんは遠い国から来た私たちを受け入れたのですから」


「それはたまたまだろ」


「フローラ様みたいに素直ではありませんね。やはり精霊様と契約するのは似ている者同士ができるのでしょうか?」


「柚葉はまで何を言い出す……。俺はフローラみたいにワガママではないぞ」


 そう言うと全員笑い出す。御者のお前も笑うなよ……。他愛のない話が続くと――。


「レオさんとフローラさんがいれば世界平和なのに」


 急に幸之助が唐突に言う。


「はぁ? バカな発言はやめてくれよ。俺とフローラにそんな力はない」


「いいえ、あります。私は数々、人を見てきましたが、あなたたちのようなお方はいません。自称善人を気取っている聖審教会より遥かに善人ですよ」


「聖審教会の奴らと比べては困る。あいつらは本当にクズいことをしている」


「魔族の虐殺ですね……。噂は本当のようです……。魔族なんて普通の人――鬼人族と変わらない優しい方々なのに……」


「ん? まさかお前たち魔族領に行ったのか?」


「はい、途中で道に迷い込んでしまい。助けてくれました。最初は怯えていましたが、極東から来たと言うと歓迎してくれました」


 そういえば東の方――龍国とは魔族と交流があったはずだ。おそらく、東から来たから歓迎はしてくれたはずだ。

 こっちはというとあの聖審教会の奴らのせいで魔族領は人間の立ち入り禁止とされている。

 なんだよこの格差は……。まるで俺たちが悪人かのようだ。


「東だから受け入れているからだろ?」


「それもあります。ただ、不審に思う魔族はいました。本当に東から来た人なのかと」


「まあ、東が来たとしても人間には抵抗があるよな。柚葉は獣人――狐人に見られているから大丈夫だとは思うが」


 魔族領は人間はいないが、エルフ、ドワーフ、獣人などの中立的な立場は受け入れられている。

 これもあのバカどものせいではある。


「はい、交渉では私が主でした。夫と柚葉の頼れないとこんなにも大変だとは思いませんでした」


「そこでレオさんなら、人間代表として魔王さんに平和的な条約を結んでもらえないでしょうか?」


「理由になっていないぞ。どうせ、魔族領でも商売したいと思っているだろ?」


「ハハハ……わかりましたか……。ですが、私は本当だと思います。これでも勘は鋭いほうなので」


 商人の勘で言われてもな……。

 

「その前に体を治してからにしろよ」


「はい、絶対に龍の力を手に入れて、あなたたちの行く末をみたいです」


 行く末か……勝手に決めるのは困る。だが、本当に体が治れば俺たちと同じ不老だ。

 まあ、長生きする友ができるのなら悪くない話だ。

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