表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/54

31話 男爵の屋敷


 出てきたのは白衣――研究服姿でベージュの髪をポニーテールにして、のびのびとしているグラマーな美女だ。

 あの顔は……間違いないベリアミスだ。かなりの美人になったな、しかも肌に艶が良いのは気のせいか?


「おはようございます。ベリアミス嬢、商品開発は順調ですか?」


 商品開発? じゃあ、ログハウスは商品開発用に使っているのか。

 まさか令嬢が開発の仕事をするのは意外だ。


「これはオリオントさん、おはようご……レイ様とフローラ姫ではありませんか!?」


「久しぶりだなベリアミス。大きくなったな」


「もう10年近くお会いしてないので自然と大きくなりますよ。お二人が変わらないのが羨ましいです」


「まだ10代後半だろ? 羨ましがるのはまだ早いぞ」


「人間の年はあっという間です。今から考えないと老けてしまいます」


 老けるのが嫌なのか?

 まあ、女性は若さを保ちたいのはわかる。 


「でもあなた、すぐには老けないわよ。アタシが保証する」


 老けないのか? 魔力を見たが、100年くらいは長生きするのはわかる。

 ただ、フェリシアみたいに魔力が多いわけではなく、老けるの可能性はある。

 お世辞で言っているのかもしれない。


「フローラ姫、ありがとうございます!」


 ベリアミスはフローラに駆け寄り、抱きついて頬をスリスリする。

 そういえばフローラのこと大好きだったよな。

 10年近く会っていないと感情が抑えきれないか。


「ちょ、何するのよ!? というか、ベタベタするわ!? あなた、何を塗っているのよ!?」


「私が開発した化粧液を塗っています。美を追い求めている女性の大事な必需品です」


 だから肌に艶が出ているのか。


「あなたも大人になったわね。その化粧液、私に譲るのは可能性かしら?」


 化粧液が気になるのかよ。前にほしいと言ってアレクが買ってもらったが、フローラに合わなく「粗悪品」だとか言って魔法で燃やしてアレクに1週間は口を聞かなかったことがある。


 別にフローラはつけなくても肌は変わらないと思う。 

 

「ちなみにですが、フローラ姫は私がつけている化粧液でいいですか?」


「う~ん、できればべたつかない。サラッとしたのがいいわ」


「そうですか。今試作段階なのでお時間をいただければ――あっ、すみません。レオ様は忙しくて街には……」


「そのことだが、俺は王様の契約が終わって旅をしている。1週間以上はいるぞ」


「そうですか!? 3日で完成するのでお待ちしてください」


「期待して待っているわよ」


 まさか多様な品を開発しているとはかなりの熱心だな。

  

「はい、それで皆様はお父様に用ですか?」


「そのとおりです。例の件でお話を」


「そうですか……。早く解決すればいいですね……。では私は失礼します。レオ様、フローラ姫、いつでもお出でください」


 ベリアミスはお辞儀をして不安そうな顔でログハウスに入る。

 

 この件は本人に狙われていることを知らされているだろうか?

 いや、言ってしまうと商品開発なんてできはしないか。


 オリオントが玄関をノックすると、執事が出てきて中へ、広々としたホールを通り客間に案内をされる。


 ソファに座り待つこと十数後、扉が開くと顔色の悪い 青い正装を着たベージュの短髪にしている50代前半の男――カロメンだ。


「久しぶりですレオ殿、フローラ殿、街に来たことは兵士の報告で聞いております」


「久しぶりだな、耳に入るとは早いな」

 

「あなたは有名です。魔族が多くなった街では避けられないと思ってください」


「それはいいが、俺としては魔族と一緒に暮らしているのは良いことだ。ここまで頑張ったな」


「皆のおかげですよ。私はだけでの力ではないです。ただ……厄介なことが……」


「ああ、その件について話をしに来た」


「では俺から話します――」


 オリオントが説明すると深くため息ついて額に手を当てる。


「最悪なことが起きてしまった……。いい加減にしてくれ……」


「男爵殿、我々ギルドが判断できません。どうかお願いします」


「すまない、ギルドマスター……考えさせてくれ……。引き続き冒険者は兵士と協力をお願いする」


「打つ手なしか。俺たちに頼る選択はないのか?」


「ぜひお願いしたいと言いたいですが……先手を取られてしまいました……。これを見てください……」


 執事が持っている丸めた羊紙を渡して確認をすると……これは最悪だな……。

 内容は――信者に手を出したら聖審教会の宣戦布告と見なし、街の制圧の執行するというバカげた内容だ。


「ちょっと待て、フローラがやったのは――」


「フローラ殿が魔法で追い払ったことは聞いております。安心してください。街の外なので、無効です」


 そうは言うがあの聖審教会だ。信用はあまりできない。

 フローラ、ひと安心している場合ではないぞ。


「本当にバカげた話だ……。こんなことして上が許されるわけがない」


「あの……サインを確認してください……」


 下にサインを確認すると……はぁ!? なんでアレクの名前が書かれていた……。


「これ……何かの冗談だよな……?」


「残念ながら本当です……。私の同意もなく教皇が勝手に出した同意書です……」


「双方の同意がないと認められないのは違反だぞ。もしばれたら罰則は免れないぞ」


「はい……。ですが教皇のことです……国王陛下に有利に話を進めたと思います……。レオ殿ならすぐにわかることです……」


 あっ……もう察してしまった……。あの教皇、女を使って同意させたのかもしれない……。

 これじゃあ、ほとんどあいつらのやりたい放題だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ