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30話 朝から賑やか


 ――翌日。


 ハーブティーの匂いで目が覚めるて起き上がると、ソファに腰をかけて優雅にそうに――雰囲気を出して飲んでいた。

 スイートルームを満喫して上機嫌だな。


「おはようレオ、こんな素晴らしい日はないわ。モーニングティーはいかが?」


 少々酔いしれている。立ち振る舞いは上品な貴族を醸し出しているが、フローラがやると笑ってしまう。

 機嫌を損ねていけないから笑いをこらえてハーブティーをいただいた。


「ところでユーディアはどこだ?」


「フェリシアと一緒に朝食を作っているわよ。どうやらスイートルームは落ち着かないみたいだわ」


 あの子にはスイートルームは早かったか。高級なソファ、ベッドに、魔道具を使ったジャグジーバスと見るものが驚きだろうな。

 連泊して慣れなかったら普通の部屋にしよう。


 フェリシアの手伝いは自ら手伝っているなら止めはしないが無理をしているか心配だ。

 ユーディアは動かないと気が済まない性格なのはわかった。まあ、あのときよりは無理をしていないからちょうどいいとは思う。


 ノックが聞こえてドアが開くとユーディアが入ってきた。


「お兄さん、フローラちゃん、ご飯できたよ! 早く早く!」


 清々しい顔をしていた。心配無用だった。この様子だと昨日のことはもう気にしてないようだ。

 急かされるように一階に下りると、ほとんどの席が満席だった。朝から大盛況だな。


 宿屋やらなくても食堂だけでやっていけると思うが。

 

「こんなに人がいて大変じゃないか?」


「ん? 私は平気だよ! みんなに作るの楽しいよ!」


 本人が満足しているならいいか。 


 カウンター席につくと、ミートパイとサラダが出る。


「おはようございます。レオさん、フローラ。ユーディアが手伝ってくれて助かるよ」


「フローラが自らとはいえど、賃金くらいは出せよ」


「もちろんです。まだ成人していないのにすごいは働きぶりで驚きました」


「住んでいた環境が違うからな。まさか朝から人気があるとはな」


「独身で工場勤務の野郎が多くておかげで助かっていますよ」


 そうか工場が多くなり、労働者が食べに来るのは納得だ。


「それはオカミが美人でエレーゼちゃんがかわいいから来るに決まっているじゃないか!」


「エレーゼはともかく、私目当てとはどんな悪趣味をしている。50代のおばさんを狙うとはドン引きにもほどがある」


 20代の若さを保っているのに自覚がないのか?


「あら、フェリシアわからないの? あたなたみたいな女性は年を取ると魅力的になるのよ。まだまだ子どもね」


 フローラが言うとややこしくなる。


「そうなのか? 精霊と人間の感覚は違うからわからない」


 天然のフェリシアでもそこは真に受けないようだ。


「エレーゼは渡さないからな! 絶対に守ってやる」


 ポモロは言い放った客に睨みつける。目つきがオリオントに似ているから威圧感があるな。


「ポモロ、今やるタイミングではないぞ。エレーゼがいるときにやれ! エレーゼを呼ぶからやり直しだ!」


「母さん、余計なことしなくていいから!」


「オカミ……俺をだしに使わないでくれよ……」


 周りは大爆笑だった。朝から賑やかだ。こういうのも悪くはない。

 奥にある裏口の扉が開くと、オリオントが入ってきて隣の席に座り、ため息をつく。


「おかえりなさいあなた」


「ああ、ただいま……。飯を頼む……なるべく濃いのを……」


 今帰ってきたのかよ。


「おい、大丈夫か? 案内は無理だなゆっくり休め」


「いえ、俺も男爵殿に相談しないといけないので……。終わったら寝ますよ……」


「問題でもあったか?」


「信者が街に入る予定の商人を襲って品物を強奪したと情報が入りました……」


 まさか犯罪に手を出してしまうとは……。


「完全に盗賊だな。捕まえ……。いや、無理だな……捕まえようとしても信者全員だな……」


「そうです……特定の者を捕まえようとしても無理があります……」


「ギルドマスターとして判断は?」


「様子見です……。ですので男爵殿に相談しないとわかりません……」


 それしかないか。下手に手を出したら教会側に難癖つけられる可能性はある。

 オリオントだけでは難しいか。

 カロメンに相談して解決すればいいが。


 朝食を終えて、オリオントにカロメン――男爵の屋敷に案内をしてもらう。


 ユーディアはフェリシア――宿の手伝いでお留守番でフローラは、ベリアミスに会いたいと言ってついてくる。

 そういえばベリアミスはフローラを褒めちぎっていたし印象は良かったはずだ。


 住宅街を抜けて大通りに、真っ正面――遠くに見えるのは大きな屋敷だ。

 ほかより大きな建物がないからあそこがカロメンが住んでいる屋敷とわかった。


 変わったな、カロメンが統治した間もない頃はログハンスに住んで開拓をしていたが、立派になったな。

 男爵邸の前に着くと、門番している兵士がお辞儀をして門を開けくれた。


 やはりオリオントがいると楽である。俺の名を口にしないで通れるのは助かる。


 ん? 庭の端にあるログハウスって……今でも残していたのか。

 苦労して開拓したのだから思い残したいだろう。


 手入れもしていて倉庫代わりにはちょうどいいな。

 まあ、そんな原点を粗悪に扱うわけないか。


 すると、ログハウスの玄関から扉が開いた。

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