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神力って?

いつもより短いです

森から見える神社には参拝客がちょっとばかしいる。正月でも、受験シーズンでもないので、数が少ないのは当たり前かもしれない。

人気(ひとけ)の少ない神社というのは、どこか神秘的な雰囲気がある。


「私はここで神力を補充するのと同時に結界も貼ってるの」


油津は神社に向けて手を翳し、結界を貼る。この結界には「秘匿」という力が付与されているらしい。


「実は、神力は人間たちの信仰心が元になってるんだよ、だから定期的に神社に来て神力を蓄える必要があるの、結界を貼るのはそれのお礼みたいなものだね」


「そうなんだ……えっと…信仰心と神力についてもうちょっと知りたい」


油羅は説明を聞いて理解した上で質問をする。

油津が、人々からどうやって信仰心を手に入れたのか、信仰心がなぜ神力になるのか。


油津は神社の方から油羅の方に視線を向けて質問に答える。


「いいよ。私の経験も含めて教えてあげる。」


油津が近くの木の麓で座り込んで、それに合わせて油羅も近くに座る。


「私、もともとは結構やんちゃな子でさ、人間とも結構遊んでたんだよね」


「うんうん」


油羅のあどけなさのある相槌は、本人はまだ男のつもりで無意識の行動だが、相当破壊力のある仕草である。勿論油津は蕩けそうになるがなんとか堪える。


「えっと、その頃はずっと遊んでて、人間の姿に化けて悪戯して罪を被せたり、嘘吐いて村を300年くらいありもしない神話に惑わさせたり、ね。当時は善し悪しがわからなかったからただ純粋に楽しんでたけど」


「悪意なしでそんなことやってたの……?」


「ま、まぁ…ね。当時は周りの狐たちからすごく強い子だって持て囃されてたし人間みたいなものは弱い生物とかペットっていう認識だったし」

「そんなこんなで人間に変に畏怖されてさ、そのまま崇拝されちゃった」


「……とんでもないね」


油津のとんでもない経歴に唖然とする。しかも信仰が今でも続いているのがさらに驚きであった。


「それに、崇拝されるっていうことは神と同等の存在になるっていうことなの。つまり、神と同じ力を使えるようになるってこと」

「これは妖怪とか悪魔とかでも同じで、みんなが居ると信じれば生まれるし、こんな能力があると信じればそんな能力が使えるようになるの」

「私の今の姿もそういうみんなのイメージから作られてる。でも実物を見ることは叶わないからこういう神社とかで祈ってる。それで貯蔵された信仰心を私たちが頂いていつもありがとねーって感じだよ」


「はへ〜勉強になります」


油羅は真剣に話を聞いていたが、その姿も油津には可愛らしく見えて、ついつい頭を撫でていた。


「撫でんな」


油羅はそう言っていたが、手を退けようとはしてこなかった。油津には完全にツンデレのそれに見えただろう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


油羅は森の中を散策していた。油津が神社の方で少しお告げみたいなことをしてくるとか言っていた。100年ぶりくらいのお告げらしい。

その際油羅は森の中で気ままに過ごして良いと言われて本当に気ままに森の中を歩いていた。油津からはしつこく人に見つからないように、面倒事になるよ、と言われていた。


暫く森の中を歩いていると、小さなお寺みたいなもの、摂社があった。誰も来ないような場所だと思って近くに寄る。

中に入っていいのかな?なんて思ったけど人間じゃないし良いと思って中に入ってみる。


「なにここ、変な感じだけど綺麗な暖かい空気が……漂ってる……?」


そこはその土地の神様が祀られている場所──なのだが、誰も来ないような場所で、祀られているかどうかも怪しい。現に、そこの神様はもう認知されなくなって、消えた存在だった。残っているのは当時の空気だけ。


「あー、暖かいから寝れるわ」


油羅は気持ち良さに身体を委ねて目を閉じた。

油羅は狐の姿になってから寝ることがとても好きになったらしいです


油津が使った秘匿の結界の効果は悪霊がこの場所を見つけることができないようにするものです



マイペースに書いてくよー

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