神社に来ました
小説書くの難しいよぉ
目の前の鳥居の中の景色に人影は無い。だが人影があるように感じる。人間が沢山いるかのような賑やかさを感じていた。
「鳥居は、家で言うと玄関に当たる場所、家族なんかでも無いのに自らの家のように堂々と入っていくのは不埒だよね」
油羅はそんなことを呟いては鳥居の右側を一礼してから通る。
中に入ると奥の方に先程見たような狐が見えた。
「あ、油津様!来ましたよ!」
「………漸くか…」
狐に呼ばれて顔を出したのは、油羅と同じように、人間に狐の耳と尻尾が付いた美女だった。しかも尻尾が9つもある。
「……」
九尾の美女は自分を呼んだ狐には目もくれず、油羅の元へ歩いていく。
「ねぇ油羅、今、いつもより心が軽いんじゃない?」
名乗ってもないのに名前を呼ばれて油羅は驚いた。
「え……っと、なんで、名前を?」
「そんなの簡単よ、ちゃんと節度を持ってて知識もあって狐のことが好きな人間のことなんて、珍しすぎて調べるに決まってるじゃない?」
九尾の言うとおり、油羅は動物が好きだった。特に猫と狐が好きで、見かけたら話しかけに行くぐらいに好きだった。
そのときの油羅には人見知りの面影など欠片も無かった。
「心が軽い……とは?」
「それはあなたが霊に取り憑かれているのが証拠よ、心が弱っていて、それの穴埋めのために幽霊を受け入れてる、そんな状態なのよ、あなたは」
「幽……霊?……取り憑かれてる?」
「その姿で狐の動物霊に取り憑かれてないと言うのは流石に無理があるわよ…」
油羅に付いている狐の耳と尻尾は、狐の動物霊に取り憑かれていることの象徴らしい。それに精神状態が悪い状態だと、幽霊が取り憑いてしまうらしい。
「大半の幽霊は優しいから、人間が弱ってるのを助けようとして取り憑くの、人間の幽霊だと、ちょっとばかし悪い幽霊が多いとは感じるけど」
「あ、えっと、教えてくれてありがとぅ……ございます」
「そんなに硬くならなくていいのよ?」
そう行って九尾の美女は踵を返し、神社に戻っていく。
「油羅、ついてきて」
油羅は慌てて彼女の元へついていく。まだ話すことがあるらしい。
神社に入ると、中が思ったよりも生活感があるのに油羅は驚いた。
大きなテーブルに座布団、大きな箪笥、テレビやキッチンもある。
「油羅は可笑しいと思わなかったの?ここまであまりにもスムーズに動いたこと」
「た、確かに…?」
油羅が狐に取り憑かれてから、ここに来るまで、一時間もかかっていない。
油羅が外に出てから、すぐに狐が現れ、学校の敷地外に出たところに転移装置(?)がある、考えてみると偶然にしては出来すぎている。
「あなたのことを調べたとき、あなたの心が相当弱ってることに衝撃だったわ。もう油羅の人間の心は半分以上は壊されていたもの」
「はん…ぶん壊れ……え?」
「気づいてなかったかもしれないけど、油羅、あなたは他の人間の二分の一の感情しか無かったのよ」
油羅は、クラスメイトの中でも一際感情が無かった。
ただ、壊れているというのが影響しているのか、自分への負の感情には敏感だった。
今は、霊が憑いたことで普通の人と同じように感情を、持ち合わせているようだが。
「あなたの周りには全く人間の幽霊が寄ってこないのも興味深かったわ。普通、心が弱っている人間がいたら同じ人間の幽霊達が支えてあげようとするものなのよ?」
「もしかして人間のことが嫌いだったの?」
その言葉に油羅は少しの間沈黙する。
「…………文化とかは好きだよ」
油羅の言葉に九尾は納得したような顔をする。
「ふーん、まぁいいわ、前置きはおしまいにしましょう」
「油羅ちゃん、わたし、あなたみたいな人を、ずぅーっと待ってたの」
急なちゃん付けや声色の変化に油羅は唖然としてしまう。
「ぇ……え、え、え?」
「あなたみたいに狐のことが好きで、私みたいに動物霊と相性が良くて、人の形を持ってる子なんて今までまっっっっったく居なかったんだから!」
「わ、あ、え?えっと?」
先程までの雰囲気とは雲泥の差で、対応出来ずに油羅はあたふたとしてしまう。
すると九尾の狐、油津は、油羅に抱きついた。
「ふぇ!?」
油羅は急なことでもあり、ここまで人と密着することなど無かったので必然的に素っ頓狂な声を出してしまう。
「油羅ちゃん、私……油津の娘にならない?」
「……へ?」
「私の妹でもいいよ?」
「…………どう答えるのが正解なの???」
油羅にはもう何が何だかわからなかった。
「……僕にも親が……ってこの姿じゃ……」
そう、油羅は今となっては女の子であり、狐の耳と尻尾が生えている状態なのだ。心が半分で感情が希薄だったのも霊に取り憑かれたことで心も満たされている。親は自分の息子だと一ミリも思わないだろう。
「……じゃあ、どうするの?」
抱きしめたまま油津は油羅に聞く。
「…………………………妹で…………」
油津は抱きしめていたのを離して、喜々とした表情で言う。
「ありがとう!じゃあ、今日からここが油羅ちゃんの家だよ!今日はもう休んだ方が良いからあっちの寝室で寝てるといいよ!案内は近くの狐ちゃんに聞けば連れてってくれるよ!」
気分が舞い上がっている油津はそのままの調子で外に出て慣れた足取りで森を掛けていった。
「こうなるべくしてなった感が否めないよ、油津……おねえちゃ……ん?」
油羅は新しくできた姉の名前をなんとなく言葉に発してみるが、恥ずかしくなって顔を赤く染めてしまった。
きっと油羅は今後油津を呼ぶときに毎回困るだろう。
「油羅様、寝室まで案内しましょうか?」
「あ、えっと……お願いします」
油羅は、そこで待っていた二足歩行の狐に呼びかけられ、案内される。
「あの、なんてお呼びしたらいいのでしょうか?」
油羅は狐に話しかける。狐は、話しかけられたのが嬉しいのか、微笑みながら言う。
「私のことは“セン“とお呼びください。ただ、他の動物霊には基本的には名前がありませんので、そこはご注意を」
「はい、センさん」
「“さん“はできれば辞めてください、こちらが仕える側ですので」
「あ、あぁ、えっと、善処します」
センさんは普通の動物霊と違い、二足歩行ができ、尻尾が3つ。耳には赤いリボンがついている。
油羅は、そんなセンの容姿に、少し表情が緩んだ。油羅はだいぶ気に入った様子であった。
「着きました、ここです」
「あ、案内してくれてありがと」
「いえいえ、私が油羅様に手伝えることは少ないです、でも、もし何か困ったことがありましたら、どうぞ遠慮なくお申し付け下さい」
「は、はい!」
油羅は、センに感謝を述べてから案内された寝室を見る。襖を開けて内装を見ると、木で出来たクローゼットなどの和風な建物に合う洋風な家具が使われていた。
そこにあるベッドは、シーツも布団も掛け布団も清潔に保たれていて、まるでホテルのベッドだった。
「うわぁ、めっちゃ気持ちいぃ……」
油羅が布団に触れると、クッション性能が抜群であることがわかった。
その瞬間、油羅はすぐさまベッドに横たわり、気持ち良さそうに眠り始めた。
流石に一日で世界観が変わるかのようなことを体験しているのもあって、疲れていたのだろう。
油羅はとても幸せそうな顔をしていた。
投稿速度遅くてすいません……もっとみんなにこの世界を見せたいけど良い表現や文章構成が出来ないのよね…
小説書く勉強とかはしてないけど勉強した方がいいかな?




