第8話
「早速第一キラーマウス発見」
本日もキラーマウスは寝てるのね。
そんなキラーマウスをスコップで叩きつけ霧へと還し、次の獲物を探して奥へと進んでいった。
そして奥へ向かう途中で何度かキラーマウスとの戦闘をおこなったが、特にスキルの恩恵もなさそうなのでこのまま進む。勿論ドロップ品なんて無い。
ダンジョンに入ってから数十分後、二階層に降りる階段を横目に昨日スキルリングを手に入れた場所に到着。
昨日のキラーマウスが天井に埋まっていた付近を観察してみたが、今日はいないみたいだ。
もし天井に埋まっていたら、スキルリングが手に入るかもしれないという淡い期待をしていたのだが、そんなに世の中甘くはなかったようだ。
さらに突き当たりがある奥へと歩を進め、十数分かけてたどり着いた所でキラーマウスが一匹こちらを見ているのを確認した。こちらを見ているのを確認した。
大事なので二回言ってみた。
「おろ?起きてるのか?」
昨日からダンジョンに潜り始めて数十匹を倒してきたが、起きているキラーマウスを見たのは初めてだ。
少し近づいてみる。
反応はない。
もう少し近づいてみる。
まだ反応はない。
もっと近づいてみる。
まったく反応しない。
やる気あるのか?
こちらは狩る側。
向こうは狩られる側。
・・・少しは危機感を持ってほしい所だ。
どう言った攻撃をしてくるのかが知りたかったが、まぁいい。これ以上様子見をして怪我をするのも嫌だからこちらから行こう。
スコップを構え、一歩踏み込もうとした所で異変が起きた。
『ヴゥン』
なんと言うか表現が難しいが、ノイズが走ったような感じでキラーマウスがぼやけた。
『ギギィ・・』
なんだよ。声も気持ち悪いのだな。
俺は振り上げたスコップをキラーマウスの頭目掛けて振り下ろした。
『ギ・・ギ・・ィ・』
俺が放ったスコップの一撃で、キラーマウスはやがて黒い霧となって消えるだろう・・・と思っていたのだが、消えない。
『ヴゥン・・』
少し経って先程と同じノイズが走って、少しして消えてなくなった。
「なんだったのだろう」
今までと違うキラーマウスだったのは間違いない。なんと言うか、バーチャルゲームのような・・
考え事をしていた俺の視線の先に何か光る物が落ちているのが見えた。そこはキラーマウスが消えて無くなった所だった。
それを拾い上げた俺は心が踊る。
そう。指輪だ。
しかもスキルリングのようにみえる。
稀にしかドロップしないスキルリングを、昨日に続いて今日もドロップしたのはかなり運が良いのではないのか。
この後、運を使い果たしてしまった俺が死んでしまうのは勘弁してほしい所たが。