第4話
広場を抜け、真っ直ぐ進むと小さな物体が見えてきた。
あれはネズミ?ダンジョンに住むキラーマウスと言う魔物かな。
キラーマウスと大層な名前をしているが、昨晩調べた魔物の中ではかなり弱いらしく、動きが遅く攻撃はあまりしてこないらしい。・・ちなみにあまり可愛くない見た目のネズミ。
俺達は初の戦闘を開始した。
「じゃぁ俺が前に出て攻撃を警戒するから、美晴は水鉄砲で攻撃してくれ」
「わかった。宗ちゃん気を付けてね」
美晴に攻撃の指示を出し、俺は身構える。そして、あまり攻撃をしてこないという情報だが、スコップを両手で持ち攻撃を警戒した。
ピューッ!
美晴が水鉄砲のトリガーを引き、的を目掛けて液体が飛ぶ。中身はタバスコを薄めたものだが目に入れば効果はあるだろう。
美晴が飛ばした液体を避けるでもなく、ジッとしているキラーマウス。
すると液体は、キラーマウスの数センチ手前の所で地面を濡らした。
「あっ惜しい!」
美晴が放った液体はキラーマウスに当たることなく地面に吸収されていく。
初めての経験だから仕方ないか。
このままもう一度美晴に攻撃させてもいいが、相手の反撃があれば美晴がケガをする可能性がある。
ここで私が一歩前へでた。
「美晴は後ろへ下がって身を守っててくれ。俺が倒す」
一歩前へ出た俺はキラーマウスと対峙すると、未だジッとして動かないでいる奴を観察した。
「え・・嘘だろ?目を瞑ってるじゃないか・・・」
マジか・・俺達の緊張を返せよ!
寝てるなら横になって寝てろよ!
ん・・ゴホン・・まぁいいか。初の戦闘を無事に済ませるのは悪いことではない。
俺はスコップを振りかぶり力任せに振り下ろした。
「初勝利やったね」
「美晴はケガはない?」
キラーマウスは寝てたので、こちらに被害はないはずだ。
「大丈夫!だって寝てたのでしょ?」
「ハハハッまさか寝てるとは俺も思わなかったよ」
キラーマウスは黒い霧のように消えて無くなっていく。
「ふうぅん。魔物ってこんなふうに消えていなくなるんだ・・・魔物って何だろうね」
「たしかになぁ・・血も出てないみたいだし何だろう。考えても分からないものは分からないでいいか。っと、そうだ。ドロップアイテムはと・・・」
キラーマウスが霧になって消えた場所にリングが二つ落ちていた。
それを拾い、一つを晴美に渡した。
「これが講習の時に言ってたリングってやつなの?」
「そうみたいだな」
見た目は装飾の無い普通のシルバーリングのようで、俺には少し小さい気がする。しかし講習の時に、サイズは関係なく指に嵌める事が出来ると言っていたので、早速小指に嵌めてみることにした。
「お?おぉ!」
小指に嵌めたリングが淡く光、身体に何かが流れ込む感じがした。そして身体に異変が無いかを伸びや屈伸等してみたが、よく分からない。日本探索者協会が禁止にしていないので多分大丈夫だろう。
「淡く光った感じがしたけど大丈夫?」
「多分大丈夫じゃない?身体に異変は感じられないし」
その後、晴美もリングを嵌め、二人
は講習で習った俺達の情報を見る事にした。