4.冒険者たち
この国、ことべルドラド王国。
そこの国境付近にある町に到着した俺は、冒険者ギルドにやってきていた。
受付嬢に声を掛ける。
「すみません、国境を越えたいので護衛の冒険者をお願いします」
「はい。いくらで募集しますか?」
「そうですね……白金貨を3枚で、食事はこちら持ちでお願いします」
金の通貨は主に白金貨、金貨、銀貨、銅の四種類だ。
最も価値が高い白金貨は、貴族や商人が大きな買い物で使うものだ。
「アルム様、一気に白金貨を3枚も使って良いんですか……? あまりお金が……」
「良いんだよ。下手にケチって性格の悪い冒険者たちや、途中で投げ出すような奴らと組みたくない」
「それにしたって……なら、私もいることですし、そのまま国境を越えてしまいましょうよ! 魔物が出たって、大抵の奴には負けないですから!」
アグニが「ふふんっ」と鼻を鳴らす。
こう、魔法や火力で押し切ろうとするのはアグニが持つ特有の性格だろう。
【擬人化】した属性によって、性格が違うのは当然だと思うんだけど……。
アグニは最低限の知識(子どもの頃の俺)から引き継いでいるから、金の価値や倫理観は備わっているが、現在の国については詳しくないらしい。
「国境を越えるためには冒険者の同伴が必要なんだ」
「なら、ここで冒険者登録しちゃいましょうよ!」
「それが出来るならしたいんだ……ベルドラド王国では冒険者登録には白金貨が5枚必要で、隣国であれば銅貨5枚なんだ」
そういうと、アグニが「はぁ? 高すぎませんか?」と声を漏らした。
俺が持っている白金貨は4枚だけだ。マイクロ公爵家が金を冒険者の登録料にギリギリ届かないように調整してきたのは、わざとだろう。
「今は国庫が窮迫しているからな、こういう所で金を取るんだよ。それに、隣国のフェイド国は食べ物も安い」
フェイド国は冒険者が盛んで、国籍を問われない。
俺のような人間にはピッタリなんだ。
しかも、と続ける。
「国境の魔物は強いんだ。何があるか分かんないし、そこは慎重に行こうよ」
俺は今、どれくらいの強さにいるか把握しきれていない。
今回のことは、冒険者の強さを知る貴重な情報にもなるんだ。
(油断や慢心は死を意味する)
そう思うと、なぜかフィム兄さんが思い浮かんだ。
……ああなりたくないってことか。
アグニを見ると、忠犬のように目を輝かせていた。
「私がアルム様を守ります!」
「き、期待してるよ……」
かなり高額で依頼したことで、素早く冒険者パーティーが決まった。
*
集まったメンバーに俺は頭を下げる。
「みなさん、護衛をよろしくお願い致します」
Bランクの冒険者パーティーらしく、名を【蒼月】と言った。
五人メンバーで、受付嬢曰く、ここら辺ではかなり名の通ったベテラン冒険者なのだとか。
律儀で真面目、しかも腕も立つのだ。冒険者ギルドからも信頼が厚いのは当然か。
「おう、よろしく頼む。パーティーリーダーのアッシュだ」
斧を背負ったおじさんに、握手を求められる。
「アルムと言います」
「良い名だ。……急で悪いが、歩きながらで良いか? 夜になる前に峠は越えておきたい」
「構いませんよ」
森林を俺たちは歩く。
「隣にいる美人なお嬢さんは誰だ? 君の仲間か?」
「はい、俺の仲間でアグニです」
不愛想にアグニが言う。
「貴様らの力なんて頼りにしていないが、よろしく頼む」
それに続いて、槍を持った短髪の男性が、俺に声を掛けて来た。
「俺はカイン。見ての通り槍使いだ。俺様が居れば、魔物なんかに怯える必要はねえからな!」
「お願いしますね」
各々の自己紹介を終え、少し場が静かになる。
回復役の杖を持った女性、シャシャという子が俺に話しかけて来た。
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