第12話 異変
このまま進みますか?
「はい」
「いいえ」←
目覚めて周りを見渡すとタガメとランプさんがいた。
ドラゴラ族に捕まったと思ったのにドラゴラ族の姿は無かった。
どこか遠くに行ったのかと見回すけど、やっぱりいない。
「あれ? ドラゴラ族は??」
「ドラゴラ族を知ってるでせ?」
「だって、さっき私捕まって……。」
「とうとう本性を表したでせ。やっぱりお前は異世界から来てないでせ!」
「え?」
「どうしたの〜?」
ランプさんが私に詰め寄ったところで、タガメが間に入った。
「私って、ドラゴラ族に捕まったんじゃないの?」
「ドラゴラ族〜?」
「ヴォルフ族が二足歩行になった様な見た目の魔族でせ。お前は知らんでせか?」
「僕は知らないよ〜。」
え? どういうこと?
状況がいまいち飲み込めない。
さっきのあれは……悪い夢だった?
確証はないけど、周りの風景が見たことある気もする。
「何を見てるでせ?」
「え!? いや、見覚えのある景色かもって。」
「やっぱり異世界から来たってのは嘘ってことでせか?」
「いや、それは本当なんだけど……。」
ランプさんにまた怪しまれてる。
でも、今は誤解を解くよりも先に何でこんな事になってるのかを確かめた方が良い気がする。
そうして周りを見回していると、ランプさんがしびれを切らしてしまった。
「早く行くでせ!!」
「ちょっと待って!」
「さっさとするでせ!!」
ランプさんが私を無視して先へと進む。
やっぱり見覚えがある。
私は一度この道を通ったことがある気がする。
そうなると、この道を進むと待っているのはドラゴラ族だ!!
「ランプさん、道変えない?」
「でせ!? この道以外ダメでせ! この道以外は城に通じてないでせ。」
ランプさんが目を泳がせながら言う。
嘘が苦手みたい。
間違いなく隠し事をしてる。
それも何か多分わかってる。
「ドラゴラ族と会いたいから?」
「でせ!! そ、そ、そ、そんな事はないでせ〜。」
「目が泳いでる! 嘘だ!!」
「でせぇ! 何でわかるんでせか?」
「私、ひどい目に合ったんだから!! 私を騙そうったってそうはいかないからね!!」
ランプさんが微妙な顔をしてこちらを見ている。
まだ確信は持てないけど多分、私は少し前にタイムスリップしてしまったんだと思う。
「タガメ、私は過去に戻ることって出来たりする?」
「キミが来た世界で出来たら出来るかもね〜。」
じゃあ、私自身に過去に戻る能力は無いって断言できる。
「タガメはドラゴラ族の事、本当に知らないの?」
「知らないよ〜。」
「そっか…。」
タガメも本当に知らなそうだから、タガメがやったわけじゃ無さそう。
つまり、今回過去に戻ったのは私だけ。
戻ったというよりも戻されたのかな?
誰が? 何のために?
過去に戻る前、ドラゴラ族と出会い、恐怖のあまり意識がなくなった。
意識が無い時に私は何かされたのかな?
でも多分、殺されたんだと思う。
タガメは大丈夫って言ってたけど、あんなに怖い魔族に囲まれて大丈夫なわけがなかったんだ。
「ランプさん、魔族の中に過去に戻す力を持つ魔族っている?」
「魔王様でもそんな力は持っていないでせ。」
「じゃあ、この指輪の力とか?」
「その指輪にそんな力があるわけ無いでせ……返してなかったでせ!?」
ランプさんにも心当たりがない。
タガメはチート能力は無いって言ってたけど、本当はあったみたいな?
もしかして、イワオさんの仕業?
でも、イワオさんと会ったことが無いのに何で私を過去に戻すの?
ダメだ。可能性は考えられるけど、答えは出そうにない。
「後で詳しく聞くよ〜。」
「……うん。」
タガメの言葉で我に返った。
タガメは私を信じてくれているみたいだ。
それなら、今は一人で悩んでいても仕方ない。
「とにかく、ドラゴラ族に会わない道だからね!」
「よくわからんでせが……仕方ないでせ……。歩きにくい道でせから、指輪は絶対に無くさないようにするでせ。」
ため息をつきながらランプさんが前回とは違う道を進む。
うん。見たことが無い道だ。
ランプさんが言っていたとおり、葉っぱが肌をかすめてチクチクするし、ぬかるみに足を取られたりで、本当に歩きにくい。
ランプさんは時折、私の後ろの方を見てはため息を付いて先に進んでいる。
そんな姿を見ていたら、ランプさんが私達を騙そうとして失敗に終わったって可能性も思い浮かんだ。
色んな可能性が頭によぎってはぐるぐるする。
私が転びそうになると『大丈夫でせ?』と心配してくれるランプさんの優しさすら疑ってしまう。
私の世界には死んだら過去のある地点に戻される物語があるから、やっぱり私は一度死んだからやり直せたのかもしれない。
でも、ドラゴラ族に会わなければとりあえず過去に戻ることは無いと思う。
そうして、私達はドラゴラ族に会うこと無くイルナ森を抜けて、無事ガーデン村に辿り着いた。




