2.貢路 愛珠海の過去(2)
今回でとりあえず貢路 愛珠海の過去編は終了です。
私には幼馴染に親友がいる。
彼女はいつも私の屋敷に遊びに来ていろんな話を聞かせてくれる。
これは5年前の話。
私はいつもの彼女の話を楽しみにしながら毎日することをこなす。
いつもどおりに庭に出て遊んで、遊び疲れた時に私はふと思ったことを言った。
「ねえ、ーーちゃん。ーーちゃんって将来の夢ってある?」
彼女は少しためらいがちにこう言った。
「うん、実はあるの。アズちゃんもある?」
私は少し考えるそぶりを見せた後に言った。
「高校生になることかな。」
彼女は一瞬悲しそうな顔をした後に笑顔に戻ってこう言った。
「大丈夫だよ、なれるよ。」
彼女はそうなるように望んでいるのかもしれない。
少し沈黙が落ちたあとに私は彼女に尋ねる。
「--ちゃんの夢は?」
彼女はもうすでに決まっていたようですぐに答えた。
「私の夢はね。----」
そこから先はよく覚えていない。
いや、自分の夢を言った時点で私の思考は違うところに向いていたのかもしれない。
私は生まれてからほとんど家の外に一人で出かけたことがない。
もともと病弱だったこともあって家にいることが多かった。
親戚の子供が外で遊んでいるところを見てもたいして自分は外には出たいとは思わなかった。
「外は危険だ。」
それが私たち兄妹が言われてきたことだ。
私はなぜ外が危険かがわかっていた。
私たちはまだ小さく自分で自分の身を守ることができない。
いくら人をつけたところで一人になるときがあれば意味がない。
私は今でもそう思っている。
しかしその夢の話をした日に私は無性に外に出ようと思った。
靴をサンダルに履き替える。
屋敷の人の目を盗んでこっそりと屋敷から抜け出して道路に出た。
あらかじめ調べていた屋敷の外の地図を思い出し、私は最寄り駅に向かう。
外には出してくれない家だがお小遣いは子供が使い切るとは思えないほどもらっていた。
きっとそれにもなにか意味があるのだろう。
私は一番近い砂浜の最寄り駅の切符を買って改札を通った。
一度も乗ったことのない電車に乗って海に向かう。
何度か乗り換えをしたら目的地ついた。
改札を通り海が目の前に見える。
今の季節は春で、少し吹いている風が少しだけ寒い。
時刻は正午を過ぎたぐらいで、少しずつ日が傾き始めている。
海の近くになるにつれて塩のにおいがする。
私はひたすら海に向かって歩いた。
海は人が少ないからかあまり濁っていない。
いや、おかしい。
サンダルを脱いで砂浜を歩く。
少し歩くと水が足にかかる。
私は海に潜る。
しばらく潜ると人つだけ輝く貝を見つけてその貝を拾い上げる。
私は海の上をただ漂っていた。
私はふと目を覚ます。
目を覚ますと、そこは私の部屋のソファーの上で、
私は膝の上に本を広げて昼寝をしていたらしい。
部屋の窓は開いていて春の風が外から吹いてくる。
私はそこから不思議なことが何度も起きた。
それはまた違う話。
その日から5年という月日が過ぎた。
私は今病院の個室の一室で静かに息をする。
私は一言
「また、会いましょう。」
と言う。
私にはもう時間がないようだ。
私以外誰もいない病室を一回見まわして私は起こしていた体を倒す。
だんだん体の感覚がなくなっていく。
私はまだこれからも生き続ける兄弟のことを思って目を閉じる。
病室にはミルクティーブロンドの髪をした少女が幸せそうな顔をして眠っている姿。
彼女の毎日書き残した日記のページが窓から吹く風で閉じる。
タンポポは風に乗ってまた新しい地へと種を運ぶ。
机に置かれた青いカーネーションの花びらが一枚下に落ちる。
次回の投稿は来週の日曜日の20時です。




