第一話 王の始まり、すなわち
「ちょっと〜。もっと好きになってしまうじゃあないのよ」
とある高校の教室の一角。二年三組、という札が教室の真ん前にある部屋で、普通の高校の二年の教室より少し広いくらいか。
時計は午後一時を指している。ちょうど、高校の昼休みといった時間帯だ。学食で菓子パンやコーヒー牛乳などを買う生徒が入り乱れる。その中で、二年三組の中央の方の小さな一人の男子の机に何人もの女子生徒に囲まれている。
「キャーーーーーーーーー。もう多敷くん、最高!」
「もう、愛梨、イケメンを苗字で呼ぶなんて、恐ろしいくらい貧乏性じゃないの。こういうの、修太くん、て呼ぶの」
いや、いいよ、言いやすい言い方で、と諭すようにいう修太と呼ばれた少年が言った。不意に、くぅーといううれしい悲鳴が巻き起こる。
ふっ、ちょろいぜ。そういう念を込めた目で、女子生徒たちを眺める。
その日は日本史のテストだった。修太は心底自信があった。今回の中間テスト、ランキング一位になったらどんな反応をするかな。そう楽しみだった。
テスト用紙が配られた。彼は笑みを浮かべていた。
しかし、その時急に笑みが崩れた。
ーー世界が、歪んで見えてきてやがる!
頭を急に抱えて蹲る。その様子は側から見たら厨二病のようであろう。しかし、彼は己の想像を絶する痛みを頭部に持っていたのである。
クラス一のモテ男が頭を抱えているのを見て、周りの女子は騒ぎ立てないはずがない。日本史中間テスト中だともいうのに、修太の近くの席の女子一人が、
「多敷くん、何してんの」
「痛い、痛い、頭が割れる、腹が裂ける……」
女子の懸命な心配にも、普段のようにキザに返すことができない。それほどにまで余裕がない状況だったのだ。
修太の目には、世界が歪んで見えた。脳裏を、先程の女子たちがよぎる。
ーーフッ。これが、いわゆる「走馬灯」っていうやつのことなのかなぁ。痛みの次に快感にも近い甘い感覚。
全て、受け止めよう。
「先生! 多敷くん、変なんです。蹲ってて」
先程の女子生徒が、担任先生を呼ぶ。
担任の女教師が、慌ててそちらへ駆けつける。
「なんですか」
「彼、おかしいんです」
「は?」
ーー記憶が、途切れる。
眠いな……
ぜひ、感想とかいただけますとこの小説はより面白く成ります。また改善点なんかもどしどしお願いします。まぁトップを走っている作家さん達みたいな人気が欲しいですけど、欲は言えませんね。ぜひこの長い長い予感のする物語をご愛読していただけますととても幸いです。そして何より読んでいただきありがとうございます。これからも最新話ができたら、ぜひ読んでみてください。面白いかは別として。でもこの物語がきっと誰かの心に響けば良いなと思います。これからもよろしくお願いします。