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私は飲食物に関していえば、温かいものが好きだ。愛しているといってもいい。毎日のように食べているキムチ鍋に飽きがくることはないし、一日に十近くお茶を淹れて飲んでいる。実家にいたとき、何が食べたいと聞かれればたいてい汁物の名前を挙げていた。豚汁、クリームシチュー、鍋。とにかく私は温かい食べ物や飲み物が好きな人間なのだ。
さてどうしてこうなったのか。昔からそうっだったかと言われると微妙なところだ。確かに昔から汁物は好きだったような気がする。だが昔の私に温かい物と冷たい物どちらが好きかと聞けば、間違いなく冷たいものが好きだと答えていただろう。お茶を飲むにはいつも氷を入れていたし、部活で喉が猛烈に乾いたときにガブのみする冷えたお茶の美味しさはいまでも鮮明に覚えている。
それに温かい物が好きなんて「ジジ臭い」ぐらいに考えていたかもしれない。まあ子供なんてのはジジ臭いもののほうが大人っぽいと思ってしまうところもあるので逆に好きと公言したりするのだが。たまにコメントで「中学生だけど80年代の洋楽聞いてますw」みたいなのがあるが、なんとなく痛々しい気持ちになる。共感性羞恥というのだったか。
しかし、そういった思い込みから本当に好きになったり、何かのきっかけになるというのはままあることだ。子供が大人ぶるのを小馬鹿にする大人というのも、なるほど子供らしいではないか。他人の本心を見透かして、さも本当は愚かな人間だと笑うのはネット社会の悪い癖のようなものだ。好きだと本人が言うのなら、それを喜び、興味を持つことができるのが私の目指す姿ではないか。
と、食べ物の好みから自身の啓発にまでつながったことはいいのだが、なぜ私が温かい物が好きなのかは不明なままだ。主たる理由になんとなく落ち着くというのがある。熱いと温かいの中間くらい、その刺激が私に落ち着きをもたらしてくれる。ぬるくなってくるとダメだ。それはもう私の好きなものではなくなっていて、電子レンジに入れるか捨てるかしかない。つまり熱さによる一定の刺激が好きなのだろうか? そう考えるとなんだか危険な感じがしてくるのだが。
私は喫煙者ではないので煙草を吸うと落ち着くとか集中力が上がるとか、そういったことは理解できないのだが、もしかしたら私が熱いお茶を飲むのと似た感覚なのかもしれない。




