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 やはり手当も何もなしにあんな遠くまで出勤させられるのはいまいち納得がいかない。普通に拘束時間三時間ぐらい増えているのに、というか普通に高速に怖いから乗りたくない。高速に乗ると虫がいっぱい車にくっついて汚くなるし、事故ったときの被害が怖い。あと向こうの勤務は疲れるのだ。環境が違うせいかもしれないが、それより景色がずっと同じというのがダメなのかもしれない。私のスタンドはかなり広いので、とにかく色んな場所に動き回って働いているのだが、意外とそうして景色が動いていくというのは気晴らしになるのかもしれない。しかし、今日行った場所は狭くて、もうずっと同じ場所にいるので、なんの面白味もないのだ。しかし景色ばかりはかなり絶景で、よくお客さんが写真を撮ったりしていた。

 小さいころから体が悪く、彼が知っている外の世界は本の中で語られていることと、ベッドの横にある小さな窓からのぞける四角い景色のみであった。そこにはちょうど公園があり、彼と同い年くらいの少年少女が元気な声で遊んでいる。「僕も一緒に遊べたらなぁ」そんな気持ちで、私もその絶景を眺めながら働いているのである。

 昔部活をやっていたときもそうだが、拘束されているときというのは、外の景色や外にいる人というのが異様に羨ましく見えるのだ。3000メートルを走っている最中、グラウンドの網越しに道路を自転車でかけていく人。きつい合同練習に向かうさながら、旅行にきている家族。電車で通り過ぎる景色のなかで、畑作業に勤しむお年寄り。

 わかってはいるのだ、たとえその場から逃げ出して実際にそこへ赴いても、想像していたような驚くべきわくわくや自由が待っているわけではないと。しかしそれでもなお、羨望するのが本能というものだ。隣の芝生は青く、他人が持つ宝はより輝いて見える。それが自分の今持っていないものであるならなおさら。人間というのはなんと難儀な生き物か。というわけで、今日はめちゃくちゃ眠いのでこの辺で終わりにしよう。

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