表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
587/619

25 6/9


 作曲はめっきりやめてしまったが、ピアノはなんとなしに続けている。「少年時代」がそこそこ弾けるようになってきたので、次は以前予定していたとおり基本の練習を。。と思っていたのだが、新しい曲に手を出し始めてしまった。新しく練習を始めたのは「ひぐらしのなく頃に」の「You」という曲だ。同世代のオタク界隈ではかなり有名な曲なので知っている人も多いかもしれない。かくいう私も「ひぐらしのなく頃に」は見たことがなく、曲だけ知っているというタイプの人間なのだ。記憶が曖昧だが、高校生くらいのころにたまたまYouTubeか何かで聞いて、それから好きになった曲だった。

 私が特に好きなのは歌いだしが終わって、Aメロに入るまでの間奏の部分。あの単音ずつ鳴らすコードの音色だ。優しい思い出、とでもいおうか。そのような響きに聞こえる。曲も好きだが、どちらかというとコードが好きなのかもしれない。

 調べてみたらコード進行は「Ⅵm - Ⅳ - Ⅴ - Ⅰ」というものであるらしい。一年前の記憶を掘り起こせば6から始まるマイナーコードはどちらかというと暗いイメージがつきやすいはず。構成を見ると「T-SD-D-T」だ。トニックから始まってトニックで終わっているので、暗いイメージながらも比較的安定感があるのかもしれない。勝手な予想だが。同じコード進行では「Summer」という楽曲で使われているのだとか。多分聞いたことはあるのだけど、そっちはそこまで響かなかったのかもしれない。


 大きく口に出していうことはできないが、私が音楽にはまったきっかけは違法音楽アプリであったと思う。ネットに転がっている音楽を拾ってきて、オフラインにダウンロードすることができるスマホアプリであった。それまで音楽といえばゲームのBGMしか知らなかったわたしにとってはかなり革命的な出来事であった。スマホは持っていたがイヤホンは持っていなかったのだ。初めてイヤホンを買ったのは大学生のときであったと思う。

 その後、大学生に入って生まれて初めてカラオケにいった。歌うことが面白いことを知ったのだ。それで夜に散歩にいきがてら、人がこないところで歌ったりしていた。たまに見られて恥ずかしい思いもしたが、あれはあれでよい経験であったと思う。「声はつくれるもの」というのをあのとき学んだのだ。それから人前で取り繕うのもうまくなったのかもしれない。それがよいことかはなんとも言えないが、まあどちらかといえばいいことじゃあないかなと思っている。今の生活は退屈でときどき無償に嫌になるが、それだけ満たされるているということだからだ。社会に必要なのは素晴らしい知識よりも人とつながるスキルであると学んだ。

 畢竟、仕事というのは人のために存在する。需要のエンドユーザーには必ず人間がいるのだ。だから、人との付き合いが上手い奴が生き残るのだろう。そういう意味で、あのとき違法アプリに手をだしたことも、カラオケにいったことも、作るのがうまくなったことも、よい結果ではあるのだ。でも違法アプリはよくないよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ