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 どっかになにか足りないような、という歌詞を聞いて「ああ、これ私のことだ」と思った。YouTubeかなにかでセンチメンタルな曲を聞いて「これわた」コメントを最初に見たときは共感性羞恥を感じて気分が悪くなったが、以降はネタコメでしか見かけなくなったので気にしなくなった。皆、これわたしている人を見かけてなんだこいつと思っていたのかもしれない。悲劇のヒロインぶってんじゃあねえよ、という話だ。

 でも改まって考えてみると何かの言葉やセリフを聞いて「自分も似た思いをしている」と思うことは自然なことではないだろうか。人の思いというのは非常に複雑で、自分でも自分のことをはっきりと分からないなんてことはしょっちゅうだ。何かの拍子に「自分はこれに当てはまるのでは」と考えるのは自分を客観視するために重要なことだ。


 なぜ「これわた」こんなに嫌われた(と私は勝手に思っている)のか、考えてみる。


 この問題のキーワードは確実に「共感性羞恥」というワードにある。さっそくGeminiくんに共感性羞恥について聞いてみた。

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共感性羞恥きょうかんせいしゅうちとは、他人が恥をかいたり、失敗したり、気まずい状況に置かれたりしているのを見たときに、まるで自分のことのように感じて羞恥心や居心地の悪さを覚えてしまう心理現象のことです。


具体的には、以下のような状況で感じることがあります。


テレビ番組で誰かがスベっているのを見たとき

プレゼンテーションで同僚がしどろもどろになっているのを見たとき

友人が空気が読めない発言をしているのを聞いたとき

ドラマや映画で登場人物が恥ずかしい目に遭っているシーンを見たとき

共感性が高い人ほど感じやすいと言われています。他人の感情を敏感に察知し、自分自身の感情と重ね合わせてしまうために起こると考えられています。


共感性羞恥を感じやすい人は、そういった場面を避けるために、テレビのチャンネルを変えたり、その場から離れたりするなどの行動をとることがあります。

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 Googleトレンドを調べてみたところ、2016年8月ごろからこの共感性羞恥というワードが一気に広まったようだ。ちょうどその時期にテレビでそのワードが紹介されていたらしい。いわく「映像作品でキャラクターが失敗するシーンを見ていられない」というものであったとか。その気持ちは分からないでもない。Geminiの例でも出ている。整理すると「他人の失敗」⇒「自分のケースを想定」⇒「自分の羞恥」となる。

 気づいたのだがこれはグロテスクな作品を「痛そうなので見たくない」というのに似ている気がする。他者の痛みなど本来無関係であるはずだが、人間は自然と自分がそうなったらと考えてしまうのだ。


 じゃあ私たちは「これわた」を「他者の失敗」と捉えているということになる。これが失敗とみなされる要因を考えてみる。


・不特定多数の人が閲覧する場所に作品と無関係な発言を行う

コメントにおいて突然の俺の語りは嫌われている。「おばあちゃんがなくなった」「結婚します」「昔好きだった~」正直、顔も名前も知らないやつの事情などクソほどどうでもいい、というのが標準的な日本人仕草だ。なのにそれを行う、というのはその人の社会性のなさや見え透いた浅ましい承認欲求がある、という風に考えてしまう。それこそが共感性羞恥として嫌われる原因ではないだろうか。「これわた」と並んで嫌われているのが「2025年5月22日 今見ているひといる~?」だ。これが嫌われる理由も似たようなものではないだろうか。正直私はこっちのほうが嫌いだ。


 ひとつ面白いのは他人の事情はどうでもいいが、感情をむけられることには敏感であるという点だ。俺語りがただのアナウンスであるのに対し、感情をむけるというのはToメッセージになるのでその違いだろうか。

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