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 皆さんは人形を持っているだろうか? 小さい頃は多くの人が人形と触れ合ってきたはずだ。子供にとっての人形とはただの人形ではなく、一個の人格を持つキャラクターであったりする。だからお気に入りの人形を失うというのは、肉親を亡くしたような喪失感をもたらすものであると思う。人形を自由に遊ばせることで、私たちは社会性を学びコミュニティにおけるキャラ付けというものを習得しているように思う。


 こんな話題を持ち出したということで、私ももちろんお人形を持っていたし、実は今も持っている。一番最初に手にしたのはポケットモンスターのキモリの人形であった。なにがそんなに気に入ったのか、私自身あまり明確に覚えてはいないが、ポケモンセンターでかなり駄々をこねて買ってもらったらしい。そして私はキモリの人形を本当に気に入ったようで、それこそ気づけばほぼいつでも側にあったし、寝るときにキモリがいないとえらく泣きだしたものだ。地震になったらどうやってキモリを取りにいこうかと考えていたあたり、相当いれこんでいたことに間違いはない。

 しかしお人形というのはいつかは卒業するときがくるのが定番だ。トイストーリーでもそのような描写が悲しく描かれていた気がする、ちゃんと見たことはないのだが。もちろん私もそのような認識があったが、私の入れ込みようはかなり深刻なものであったらしく、中学生になろうとキモリの人形と一緒に寝る日々に変わりはなかった。多くの人はそのくらいの年齢になれば人形を人形と区別して扱えるものなのだろうか。それとも私と同じように人形離れできていない人は一定数いたのだろうか。

 まあそんなわけで私は高校生になってもずるずるとお人形と一緒に寝ていた。さすがに人形が別の部屋に置きっぱなしなっているとか、そういうときはわざわざ取りにいったりせず寝ていたが、それでも機を見ては布団に人形を連れ込んでいたものだ。ちなみにいつだったか忘れたが、このキモリの人形は二代目となっていた。古いキモリの人形はあまりにボロボロになっていたので、親がこっそりと新しいものを買ってきてすり替えていたのだ。当然私は速攻でそれに気づいてギャン泣きしたのだが、古くなっていたから病院で外側を交換してもらったという親の証言を信じたのであった。今思えばかなり猟奇的な発言であったと思うのだが、まあ当時の幼い私はそのような施設もあるのだろうと納得してしまったのだ。

 結局大学生になっても私はこの人形と一緒に寝ていた。さすがに物置に置いたりはしていたのだが、今度は母がわざわざ人形を私の寝床に置くようになった。三男として可愛がられていた私が人形離れすることが、親離れすることと同一されていたのだと思う。母はしつこいぐらいに私に甘えてくるように要求して辟易していたので、多少の罪悪感もあって母が人形を連れてくるならそれには口を出すまいと考えていたのだったか。そしてまあ、引っ越しのときに当然のように私の荷物の中にこのキモリの人形は同席していた。


 そんなわけで、久しぶりにこの人形が目についたので取り出して今日の日記を書いている。相変わらず安心する手触りだ。おそらく人間というのは慣れ親しんだものに安心を覚える性分なのだろう。十年以上にわたって私と共にあった親友は、確かに今でも私に安心を与えてくれている。

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