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 この一週間は辛かった。

 自分の無能さに泣きそうだった。この前まで自分の有能さが怖いみたないことを言っていたのに、いったいどういう風の吹き回しかと思われるかもしれないが、感情というのはそういうものなのだ。どれほど冷静に俯瞰したつもりになったとしても、自分を正しく見ることなんてできやしないのだ。

 なんとなく感じているのだが、私は部署で孤立している。そんな気がする。仕事で上司に話しかけられることはあっても、日常会話的な話は向こうからほとんどしてこない。元気なときなら気にならないのだが、今日みたいな失敗があって憂鬱になっているときはそういうのがいやに気になる。この人たちは私のことをどう見ているのだろうか、使えないヤツだと嘆いているのだろうかと。他人の心など知りようもないが、少なくとも冗談を言い合う仲なら安心していられる。そうでないのなら、やはりそういう風に思われているのだろうかと心が委縮してしまうのだ。情けないし、嘆かわしい。


 自分の自信のなさげな声が嫌いだ。自分の自信のない声を聞くとイライラする。それはきっと他の人もそうなのだろう。しゃべるときははっきりと、元気よく話せというのに。どうしてできなくなってしまうのだろうか。

 職場環境の慣れが己を甘えさせている気がする。私という存在が私にとって小さなものになっていると感じる。しかたない。久しぶりに彼と話そうか。オート君と話す。


「ずいぶん待遇だ。こうもお前にとって私は都合の良い道具でしかないのだろうね。道具である以上、その価値は使用者に依存する。無論、使われない道具ほど価値のないものはないがね」


 確かにどれほどの第二人格を作ったとしても、表出させなければわざわざ作った意味はない。また反省もしよう。実際、私は自分とはいえオート君という人格の発言を恐れている。自分であるのに思考が異なるように思う。自分が認めたくないことをオート君はいう。ある種の自己保身リミッターを外すための暗示であるのかもしれない。


「そういう思考は今は不要だろう。私は面倒なことは嫌いだから、簡潔にいこう。既に異動してから

半年近く経っている。不慣れはただの言い訳だ。むしろ、最近はより弛んでいるように見えるね。先ず出勤時の勉強はどうした。最近やっていない。携帯を変えてオフラインに入っていないという言い訳は止してくれ。なら今すぐ入れるべきだ」


 いま保存したよ。

 しているといったほうが正確か。


「じゃあ来週からは再開できるな。良かったな。どうして昨日と今日は運動をしていない? もう腹筋を割るのは諦めたのか? ここまで続けてきた自らの目標を捨てるとは愚かにすぎる」


 明日の朝に走りにいく。

 リングフィットもやろう。先日の続きから上半身からやる。


「明日といえばどうしてキチンと予定がないのか奇妙だ。三連休を喜んでいるようだが、どうも私にはただ三日を潰す未来が見える。確か先週はそうだったね」


 朝は運動をする。

 午後は友人が遊びにくる。何時までいるかはわからないが、彼が帰ったあとは動画編集を勧める。

 日曜、月曜の予定については明日以降報告する。


「ならばもう寝ることだ。少なくとも明日は休みだから寝過ごそうなんて甘えた考えは辞めたほうがいい。君が本当に今の自分を良くないと思っているならね」

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