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 友人が日記を書きだして半年経ったという話をしていた。立派なことだ。私が何度も三日坊主を繰り返していたのに対して、彼はそこそこ真面目に取り組んでいるようだ。それを褒めると、彼は時間はあるからと言っていた。確かに働いてないので時間はあるだろう。しかしながら、私にとってはむしろ時間があり余っている状況のほうが何かを継続することが難しいと感じる。

 以前にも何度か話したように思うが、私が毎日のようにきちんと日記をつけるようになりだしたのは働き始めてからのことだった。働き出してからのほうが時間ができたのか、といえばそんなはずもあるまい。当然ながら時間は少なくなっていた。それでも日記をつけるという行為を習慣化できたのは、働くという制約によって怠惰であることを許されなかったからだ。

 何度でも言おう。私の今までの人生で最も恐ろしかったのは暇を持て余したあの一年間であった。周りが進んでいくことで自分が置いて行かれる焦燥、しかし主体的に動く行動力もなく何もできずに家で暇を持て余し続ける。スマホを開いては閉じてを繰り返して、何かやってみたいなとか、何かしなくちゃなとか、そんな思いばかり募らせて結局何もしないでいたあの時だ。日記を書き始めるきっかけにもなったあの時間である。


 怠惰というのは人を腐らせる。時間は余っているはずなのに、何もしないでいるとそれが当然になってしまって他のことができなくなってしまうのだ。ただ日記をつけることすらも、ひどく億劫に感じてしまってできないのである。人は慣れる生き物だし、安定を求める生き物だ。だから例え小さなことでも環境を変えるということに嫌悪感を示す。一日五分、特定の何かをする。それすらも人は負担に感じるのだ。少なくとも、私はそうだった。

 そういう意味で、彼はそういった日記を書くという環境の変化には適応してみせた。それは素直にすごいことだ。しかしながら、きっかけがよくなかったと今なら思う。彼が日記を書き始めたきっかけは私に言われてだ。しかし私のきっかけは自発的に、目的があってのことだった。つまるところ、私の日記の目的というのは自己の改善というのが念頭にある。それは経営理念みたいなもので、横道にそれたとしても結局はそこに戻ってくるし、最初はそれを目的に進めるのだ。

 対して彼の日記というのは、完全に感想や観察日記で終わってしまっているように感じた。むしろそれが本来の日記の在りかたなのだろう。しかし私の中に日記とはこうあるべきだという理念が先行してしまって、彼の日記を見たときに何故その感想に辿りついて改善点を探そうとしないのだろう、と思ってしまうのだ。それは私と彼が前提としているものがおそらく違って、そのギャップが生んでいるものかもしれない。


 さて、急に改善点を探せと私がいっても、おそらく混乱するだけだろう。というかそうなった。だから私が自分の経験から良いと思える方法を改めて考えてみた。私は男性特有の、短い経路を求める傾向もあるように最近思っている。よくある、共感してほしいだけの女と答えを提示してくる男というやつだ。最近自覚がでてきたので改めようとは考えている。

 それで私なりに考えた解決策というのは、もう一つの人格を用意することだ。そう、以前わたしがやった「オート君」と「フィーちゃん」である。最近はめっきり出番がなくなってきているが。ネガティブな自分があるとするなら、その逆の超ポジティブな自分の分身を用意しとくのだ。今の自分のコンプレックスと反対の人格を用意しておくことで、彼との問答を通して自分なりにできることを見つけられるのではないだろうか。

 この主人公ならこのように自分に声をかけるだろうというのを、自分なりに文章に起こすことで自分を納得させるのである。それこそ自分の好きなキャラクターでもいいし、ゲームのアバターでもいい。アバターというのは自分の理想を詰め込んでいるから。自分の好きな人が言うことなら受け入れられることもあるかもしれない。

 ここで大事なのは、ロールプレイを妥協してはいけないということだ。恥ずかしがってはいけないのは当然だし、自分の望む形に理想人格の発言を誘導してもいけない。彼らはこうだと決めたら、それに反する発言はゆるすべきはないだろう。


 ちなみにあまりに攻撃的な人格を用意するのもおススメはしない。結局オートくんにガチでへこまされてから、彼を出さないままでいる。私もそろそろ彼と向き合うべきなのだろうか。

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