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私は一対一で話すことは存外得意だが、多くの人が集まると、とたんうまく話しに入り込めなくなってしまう。今書いていて思ったが、これはもしかして相手が話すのが上手なのであって、私の会話はへたくそなのではないのだろうか。
いや人並に友人付き合いもしてきたし、と思ったがよく考えれば大学で関わったのはほとんど部活の同輩であり、学部で仲良くしていたのは一人しかいない。もしかすると私は一対一でのコミュニケーションも満足にできていなかったのではないだろうか。
思うに、義務教育で教えるべきは話し方なのではないかと思う。国語の教科書を録音して読み上げてみると、思ったより上手に読むことができなかったりする。以前面接の練習のためにネットで拾ってきたものを朗読して録音したのだが、まあひどいものだった。息継ぎはへたくそだし、なんといっているのかよっく分からない箇所もあるし、数秒に一回はつっかえていたものだ。綺麗にしゃべれるように意識してそれなのだから、普段はもっとひどいしゃべり方をしているのだろう。
声優さんにも可愛らしい声、渋い声と、色々な声質の方がいらっしゃるが、どれを聞いても共通しているのは何と言っているのかはっきりわかるということだ。たまに早口になるシーンなどがあるが、しっかりと一つ一つの音を発しているので言葉が聞き取れるのだ。これは本当にすごいことだと思う。
よく運動部が部活の終了時に「ありがとうございました!」と礼を言ってしめる。だが実際に聞こえてくる言葉は「あらーとぉおざしたー!!」みたいな感じではないか。「ありがとう」という単語は発音方法が異なる文字が続いているため綺麗に言おうと思うとかなり難しい。コンビニで働いていた私はそのことに気づいた。
綺麗な発音、声の高さや抑揚、これをするだけで人の印象はがらりと変わると思う。友人や家族と話すときに、わざわざそんなことを意識する人はあまりいないだろう。しかしながらそれ以外の人と話す機会というのは、子供のころはほとんどないと言っていい。だから話し方をいまいち分からないまま大人になってしまうのだ。そして私はいまそのことに苦しんでいる。
まあガキというのは変に恥ずかしがりなところがあるので、綺麗な話し方なんて授業でやっても真面目にやる人を馬鹿にするばかりかもしれないが。




