22 10/19
ファンタジーな光景といっても、人間の想像力というのは貧相なもので、少なくとも私の脳はそうなのだ。だから思い浮かぶのは天空の城だとか、果てしない草原とか、いやマジでこのぐらいしか思いつかない。本当にファンタジー好きなのか?
「そのためにわたしがいる」
と、フィーちゃんが鼻を鳴らしているので、せっかくだから私のファンタジーステージをつくってみようではないか。キラキラな感じで頼むぞ。
「発明、雑踏、リング」
というわけでこれが今回のお題となる。
ぱっと思いつくイメージは街であった。城のようにうずたかく積みあがった雑多な家々。それらは一様に地味な色合いだが、まったく同じ色の家は一つとない。特徴的なのは大きな窓だ。群れ成すそれらの建物には大きな窓が一つ付いている。その窓にはガラスがなく、空気の出入り口となって低く唸るような音を出す。
ご覧のように無秩序に建物がくっていていったものだから、内側の建物は部屋のように囲まれてしまっているのだ。だから内側の建物はすべからく大きな換気扇を備えている。それは上にくっついてたり、横にくっついていたり、あるいは下にくっついているのだ。当然それほど大量の換気扇を綺麗に保つことは難しいので、ほとんどの建物では換気扇は油とほこりを纏いながら回り、それらの駆動音と不快な風が町中の狭い通路を流れていく。どれほど風を通しても流れなくなった泥のように、そこは淀みの街であった。
その淀みから逃れようと、富める者たちはさらに上へと建物を増やしていく。逆に持たざる者たちは外に、下に、上から捨てられたガラクタを拾って新たな家を作っていく。そこは誰をも受け入れる。どんな犯罪者も、孤児も、富豪も、権力者も、すべてを受けいれるのだ。
そのようにして積み上げる建造物を遥かから見ると天に救いを求めて手を伸ばす様に似ていた。だからそこは「宿我の塔」と呼ばれた。
しかしかつて最初にそこに建っていたものが何であったのかを知る者は今は誰一人いない。確かなのは、この塔の奥深く、最も低い場所から、絶えることない電気の供給が続いていること。今では土とガラクタに埋もれてしまい、誰も寄り付かなくなったその迷宮の地下塔には人ならざる者たちが住んでいる。絶えぬエネルギーといわれる「永久の心臓」を求め、多くの人間がそこに足を踏み入れ消えていった。
といった感じだろうか。ちょっと他の作品のイメージとかパクったのでゼロから私が考えた設定ではない。というかファンタジーなのに換気扇って。スチームパンクみたいな感じなのかね?




